札幌と函館で「ササラ電車」が出動。市電の線路を除雪

竹製のタワシ「ササラ」にヒントを得て、「ササラ電車」が誕生

これにヒントを得て日本独自のササラ電車が誕生しました。ササラ電車が札幌で本格的に実用化されたのは大正14年(1925年)。この除雪専用の市電には、実に100年ほどの歴史があるのです。
「ササラ電車」の初出動は、札幌と函館の初冬の風物詩

北海道で初めて雪が積もるのが、11月下旬から12月上旬にかけて。このころになると道内のニュースでは毎年、ササラ電車の初出動が取り上げられます。これを見て道民は、「ああ、いよいよ冬も本番だ」と思い、本格的に冬の準備をはじめます。
札幌は12月19日にようやく初出動。40年間で最も遅い出番だった

さあ、忙しくなるぞ!!
19日午前4時の時点で、札幌の市電の線路には約5センチの積雪がありました。それ以降も雪が降ると予測されたため、ササラ電車が午前5時に車庫を出発し、車両の前後に取り付けた竹製のササラを回転させて、積もった雪を勢いよく掃き出していきました。
札幌では昨年、ササラ電車が20年ぶりに新しくなりました。新型車両は「雪21号」。外観のサイズは旧型とほぼ同じですが、ササラの回転方式が違います。従来はササラブラシの回転が油圧式でしたが、雪21号は電動で回転します。これにより除雪を強力に行えるとのことです。札幌市交通局には4台のササラ電車があり、来年の3月ごろまで、線路の積雪の状況によって出動させるとのことです。
参考
NHK 北海道WEB NEWS 12月19日:札幌でササラ電車が今季初出動
道新動画ニュース2019/04/26:20年ぶり新型ササラ 札幌市交通局
函館は11月11日に試運転。明治時代の客車をササラ電車に改造

レトロな車両でがんばります!!
函館では、札幌で考案されたササラ電車が昭和12年(1937年)に導入され、この時に明治生まれの車体がササラ電車に改造されて、現在もこの古いレトロ車両が使われているのです。
本格的な冬が来る前に試運転が行われます。この試運転もまた、函館の風物詩となっています。今年の試運転は11月11日。車両の前と後ろに取り付けられたササラが正常に回転するかどうかを点検しました。
初出動は札幌より少し早い12月15日。午後4時ごろにササラ電車が駒場車庫から出発し、竹製のササラで線路の雪を掃き出しました。
参考
NHK札幌放送局:さくっとチャンネル11月18日「函館市電の冬を守る電車」
朝日新聞デジタル11月12日:雪本番へ「ササラ電車」試運転 車両は明治生まれ 函館
函館新聞電子版12月15日:函館でササラ電車初出動 道南各地で厳しい冷え込み
ササラ電車は市電の線路を除雪するための専用電車で、日本では札幌と函館で見ることができます。雪が少ない冬はなかなか見かけることができませんが、雪が多いときは、ササラ電車ががんばって雪を掃き出している姿を見かけます。あまりにもドカ雪だと市民生活に大きな影響がありますが、ササラ電車の“勇姿”を見るためにも、そこそこの雪が降ってほしいと個人的に願ってしまいます。