春に荒天もたらす「爆弾低気圧」とは? 暴風雨・気温差や気圧差による体調不良にも注意
「爆弾低気圧」とは
中でも「爆弾低気圧」が襲来する際は、荒天に注意が必要です。「爆弾低気圧」とは、「急速に発達する低気圧」のことです。
爆弾低気圧の基準は、中心気圧が「24時間で24hPa×sin(φ)/sin(60°)以上低下する低気圧」(φは緯度)とされています。
日本付近の緯度を当てはめて考えてみると、24時間で20hPa下がれば「爆弾」と言えるでしょう。なお、「爆弾低気圧」は、気象庁の正式名称ではありません。
※気象庁ホームページ「低気圧に関する用語」より引用
台風より「広範囲で大荒れ」となるパターンも
爆弾低気圧がくる際に、「台風並みの暴風」などと表現されることもありますが、実は台風以上に「広い範囲で暴風」をもたらすという危険性があります。
台風は中心に近いところほど風が強く吹きますが、爆弾低気圧の場合は、中心付近に限らず、広い範囲で風が強まります。このため、広範囲で暴風の影響を受けやすいという特徴があります。左側は2012年4月3日「爆弾低気圧」によって、全国的に荒天をもたらした日の天気図、右側は同じく2012年9月30日、愛知県東部に台風が上陸した日の天気図です。
どちらも荒天をもたらしたものですが、左側の「爆弾低気圧」の日の天気図は、日本はどこを見ても、等圧線の間隔がかなり狭くなっていて、天気図から見ても、暴風エリアが広いことが想定できます。
過去の事例 暴風雨でトラック横転事故 暴風雪による災害も
低気圧が急速に発達しながら、日本海から北日本を北東へ進み、最大瞬間風速は、山形県酒田市飛島で51.1m/s、和歌山県和歌山市の友ヶ島灯台で41.9m/sを観測しました。各地で記録的な暴風によって、転倒、転落事故や倒木による事故、トラックの横転事故、住宅の破損や停電などが相次ぎました。
また、東京23区には暴風警報が発表され、東京都心では最大瞬間風速29.6m/sを観測しました。帰宅時間帯は交通機関に大幅に乱れが出るなど首都圏にも大きな影響が出ました。この時、4月2日午後9時から3日午後9時までの24時間で低気圧が42hPaも気圧が下がりました。
また、その翌年には、北日本では暴風雪に巻き込まれる事故も発生しました。
2013年3月2日から3日にかけて、北海道を低気圧が急速に発達しながら通過し、北海道では天気が急変し、見通しが全く効かない暴風雪が続き、特にオホーツク海側では大きな被害が出ました。車が立ち往生し、一酸化中毒による事故や脱線事故も相次ぎました。
参考 内閣府 政府広報オンライン
被害に巻き込まれないためには
「爆弾低気圧」や「急速に発達する低気圧」と耳にしたら、広い範囲で大荒れとなる恐れがあります。荒天の可能性があることを念頭に行動するようにしましょう。風が吹き荒れる可能性が高くなるため、屋外での活動や高所での作業はできるだけ控えていただき、安全な場所でお過ごしください。多くの人が集まる屋外のイベントなどは、テントを張ったり、簡易的な建物を設置することもあると思いますが、状況によってはイベントを中止を検討するなど、安全第一で判断をする必要が出てきます。「爆弾低気圧」が近づく際には、いつも以上に適切な行動をとってください。
海岸付近では波も高くなり「高波」にも注意、警戒が必要です。むやみに海岸付近には近づかないでください。
また、低気圧や前線付近では、上昇気流が起こり、発達した積乱雲が発生します。局地的に大雨となったり、落雷や竜巻などの突風、ひょうやあられが降り、荒れた天気となる恐れがあります。いざという時には、すぐに避難できる場所を確認しておきましょう。
暴風だけにとどまらず、暴風雪になる恐れもあります。車が立ち往生してしまい、マフラーが埋まりそうな場合は、エンジンを切ってください。また、エンジンを切るとかなり冷えますので、車の中では毛布や寝袋などの防寒具、携帯トイレなど、備えるべきものを備えておきましょう。
急激な気圧差・気温差で体調不良も
人の体は、体温を一定に保つために、自律神経が働いて体温を調整しているため、寒暖差が大きいと、自律神経が過剰に働き、疲労がたまる「寒暖差疲労」が起こりやすくなると言われています。対策としては、自律神経が集中する首回りのケアが効果的です。入浴の際は首までしっかりお湯に浸かって、首のストレッチなども念入りに行うと良いでしょう。
気圧の変化や寒暖差も大きい季節、体調を整えるために、普段から睡眠も十分にとり、規則正しい生活を心がけるように意識をして過ごしてみてください。