2015年お天気総決算「お天気10大ニュース」~tenki.jpラボVol.7 その2~PR
関東・東北地方で起こった記録的な大雨ですが、茨城での堤防の決壊により、濁流によって家屋が押し流されてしまう様子など、衝撃的な災害の映像が全国的にも大きくニュースに取り上げられた影響で、地域を問わず一般の方には非常に強く印象に残ったと考えられます。
気象の現場からも、関東と東北で初の大雨特別警報が発表されたことは非常に異例の出来事であり、関東・東北では近年に例を見ない、歴史的な気象災害といった意見が多いようです。
さらに、2007年の噴火警戒レベルの運用開始以来、初となる「噴火警戒レベル5(避難)」の特別警報が発表された口永良部島の噴火をはじめ、箱根山や浅間山、阿蘇山の小規模噴火など、各地の火山活動が活発になり、普段聞き慣れない噴火のニュースが連日メディアで取り上げられたことで、一般、気象予報士ともに強く印象に残っている方が多かったようです。
1位 台風第18号による大雨(平成27年9月関東・東北豪雨)
(衛星観測データ提供:JAXA)
2位 ひまわり8号の運用開始
3位 口永良部島で噴火警戒レベル5 箱根山なども火山活動が活発化
※2015年12月24日に、一部表現を修正いたしました。
(ひまわり8号がとらえた口永良部島新岳の噴煙/YouTube)
4位 東京の猛暑日8日連続 過去最長を記録
(過去天気:アメダス気温 2015年8月7日)
5位 元日 都心で9年ぶりの雪 京都は大雪の初詣
6位 台風第11号 近畿地方で記録的な雨
(過去天気:雨雲の動き 2015年7月17日)
7位~9位
台風第21号は、9月23日3時にフィリピンの東で発生し、非常に強い勢力を保ったまま沖縄の八重山地方へ接近し、9月28日16時には与那国島の南西約50キロメートルの海上で中心気圧925hPa、中心付近の最大風速55m/s の猛烈な勢力となりました。この影響で、与那国島では9月28日に全国の観測史上4位となる最大瞬間風速81.1m/sを観測し、住宅に被害が出ました。そのあと西よりに進んで台湾に上陸し、9月29日には中国大陸で熱帯低気圧に変わりました。しかし、その後に温帯低気圧として再発達しながら黄海から日本海へと進み、10月2日にはサハリン付近に達しました。この影響で、北海道は広い範囲で暴風となり、10月2日の最大瞬間風速は5地点で40m/sを超えました。暴風の影響により、北海道の広い範囲で停電となり、住宅の損壊などの被害が多数発生しました。また、高波や高潮により、国道や道道の通行止め、JRの運休などが発生しました。
(過去天気:気象衛星画像 2015年9月28日)
8位 西日本冷夏 降水量も多く 鹿児島6月に1300.5ミリと過去最多
2015年の夏は、低気圧や前線、台風の影響を受けやすく、不順な天候となった西日本では、2年連続の冷夏となり、太平洋側を中心に降水量が多くなりました。6月は梅雨前線が九州南部に停滞しやすく、前線の活動も活発な状態が続きました。鹿児島では記録的な大雨となり、月間降水量は1300.5ミリと1883年の統計開始以来、観測史上1位になりました。7月中旬から8月上旬にかけては太平洋高気圧の張り出しが一時的に強まり、梅雨明けとともに、夏らしい暑さとなりましたが、8月中旬以降は、太平洋高気圧の張り出しが弱まり、夏空は続きませんでした。8月下旬には台風第15号の影響を受けて暴風雨となるなど、荒れた天気となった日もありました。
9位 北陸地方で大雪 福井県では数百台の自動車が立ち往生
2月9日から北陸地方の上空約5000メートルに大雪の目安となる氷点下36℃以下の強い寒気が流れ込んだ影響で、2月10日未明、北陸地方を中心に大雪に見舞われました。9日の8時には福井県の嶺南地方全域に大雪警報が発表され、敦賀では降り続いた雪のため、積雪が8日の3センチから9日37センチ、10日64センチと、2日間で60センチ以上の増加が記録されました。この大雪により、福井県敦賀市赤崎から滋賀県境近くにかけての幹線道路では、国道への交通集中や路面状態の悪化の影響で、約20キロにわたって大型トラックや乗用車など数百台が立ち往生し、正午過ぎまで車列が動かない状況となりました。
(過去天気:雨雲の動き 2015年2月9日)
9位 桜前線が最速でゴール 北海道 春の高温が影響
2015年の桜前線は駆け足での北上となりました。3月21日に鹿児島や熊本、名古屋でスタートし、5月6日には釧路や根室(※)でゴールを迎えました。5月6日のゴールは、1953年の観測開始以来、根室では最も早く、釧路では1968年5月6日に並ぶ最も早い記録でした。また、スタートからゴールまでの期間は46日間と1962年の47日間より短く、北上スピードも最も速い記録となりました。桜の開花は前年の秋から開花日までの気温が影響し、晩秋から初冬に冷え込み、春先に暖かくなると早くなります。3月の月平均気温は札幌や釧路、青森の八戸など20地点で高い方から1位の値を更新。釧路では4月の気温も1位を更新し、2015年の春は全国的に気温が高くなったことが桜の開花に影響しました。
※根室は、現在は気象台での観測は行っておらず、市役所での観測。