不思議な霊力を宿した豆!?旬を迎えた「そら豆」の食べ方のコツ
今回は、春から初夏にかけて楽しみたい「そら豆」にまつわる逸話と、食べ方のコツをご紹介します。
生命の象徴であり、同時に死の象徴だった
ヨーロッパでは、そら豆が胎児のかたちに似ていることから、古より「命のシンボル」とされてきました。結婚や農耕にまつわる祭りで振舞われ、祝いの場に欠かせないものだったのです。キリスト教の「公現節」にちなんで食されるお菓子「ガレット・デ・ロワ」の中に入れる「フェーヴ」も、当初はそら豆でした。
一方で、古代ギリシア、古代ローマでは、そら豆は「死の象徴」とも考えられていました。花弁の黒点が死を連想させるため、そら豆は葬儀に用いられ、不吉なものとされていたのです。古代ギリシアの数学者・哲学者であるピタゴラスは、そら豆には死者の魂が入っているかも知れないと恐れ、決して口にしなかったとか。イタリアでは現在も、亡くなった人を追悼する11月2日の「死者の日」には、そら豆のかたちをしたお菓子を食べる習慣があります。
生命の象徴であり、同時に死の象徴ともされるそら豆は、昔から人々に不思議な霊力を感じさせてきた特別な豆なのですね。
さや付きで購入して、早めに調理が鉄則!
そら豆は鮮度が落ちやすいので、できるだけさや付きで購入し、早めに調理しましょう。すぐに使わない場合は、かために茹でて冷凍保存を。
そら豆には、黒いツメがあります。この部分は豆がさやにつながっていたところで、「おはぐろ」といいます。豆が若い状態のものは緑のままで、黒くなっていないこともあります。茹でるときは、おはぐろが黒いものを先に、緑のものは後に湯に入れると、同じくらいのかたさに茹で上がります。
まずは、シンプルに「茹で」と「焼き」で味わう
豆に切り込みを入れることで、茹で上がった時に皮をきれいに剥がすことができます。切り込みは、黒いおはぐろの反対側に包丁で浅く入れます。手間はかかりますが、ぜひ試してみてくださいね。水1リットルに対して大さじ1強の塩を入れて、湯は沸騰させないようにすると豆がかたくならずに仕上がります。
新鮮なものが手に入ったら試してみたいのが、焼きそら豆。さやごと真っ黒に焦げるくらい焼くと、なかの豆はホクホクの蒸し焼きに。魚焼きグリルにそら豆を並べ、強火で両面を焼き、焦げめが付いたらできあがり。粗熱がとれたらさやを外し、豆に塩をつけて薄皮ごといただきましょう。
お酒のアテに、サラダや前菜、スープなどの料理に。旬を迎えたそら豆を、ぜひ活用してみてくださいね。
参考文献
吉田企世子『旬の野菜の栄養事典 最新版』エクスナレッジ
参考サイト
野菜ナビ
GreenSnap
ハウス食品