歳時記「半夏生(はんげしょう)」の不思議
カラスビシャク(烏柄杓)、別名・半夏(はんげ)
「半夏生」の由来と植物は?
さて、半夏生にはどんな由来があるのでしょうか?
やはりよく知られているのは、サトイモ科の烏柄杓(からすびしゃく)生薬名・半夏(はんげ)が生ずる頃という説と、ドクダミ科の半夏生(はんげしょう)別名・片白草が花咲く頃だから…というふたつの植物に由来するという説です。また、ドクダミ科の半夏生は別名を片白草というように、花が咲き始めると葉が半分白くなります。そのことから「半化粧」という呼び方もあります。これもまた不思議な姿ですね。
目で楽しむ…半夏生の庭はいずこ
京都・東山の両足院(りょうぞくいん)が見頃で、6月12日~7月9日まで庭園が特別公開されています。(リンク参照)
鎌倉では、花の寺・瑞泉寺(ずいせんじ)をはじめ、海蔵寺(かいぞうじ)や浄智寺(じょうちじ)でも楽しむことができます。見頃は7月中旬まで。(リンク参照)
今年は花の見頃がいずれも、平年より少し早めのようだという話も聞きます。見逃さないようにお近くの名所を訪ねてみてはいかがでしょう?
農作業もひと段落、物忌みと半夏雨
関西では、『地に足が根付きますように』という意味から蛸(たこ)を食べて豊作を願う風習もあります。
また、この日に降る雨を「半夏雨(はんげあめ)」といい、「半夏雨」が降ると大雨が続くと言い伝えられています。
さて、今年はどうなりますか?
そして風は南からやってくる…
南風は「みなみかぜ」と「なんぷう」、「南吹く」、「大南(おおみなみ)」、「海南風(かいなんぷう)」など。
西日本では「はえ」「まじ」「まぜ」などという呼び方もあり、梅雨時の暗い空模様に吹く風を「黒南風(くろはえ)」、梅雨の晴れ間や梅雨明け後の明るい風を「白南風(しろはえ)」と言います。
半夏生を迎える7月2日は蒸し暑くなる予報のようですが、南風も吹くでしょうか?
どうぞ、脱水症状などに気を付けて節目の一日をお過ごしください。
《参考文献》
俳句 歳時記「夏」 角川学芸出版
春夏秋冬を楽しむ「くらし歳時記」 成美堂出版