「梅雨前線」とは 梅雨の流れを知って大雨に備えを
2024年06月20日
「前線」には4つの種類がある
前線には、「温暖前線」、「寒冷前線」、「閉塞前線」、「停滞前線」と4種類があり、近づいた際の雨の降り方はそれぞれの特徴があります。
「温暖前線」とは、寒気より暖気の勢力が強く、暖気が寒気を押すようにして進む時にできる前線です。「温暖前線」が近づいた時は天気はゆるやかに下り坂に向かいます。高い空から雲が出始め、だんだん低い雲へと変化していきます。雨はシトシトと比較的弱い雨が長く続き、降水強度はあまり変化しないという特徴があります。
一方、「寒冷前線」は暖気より寒気の方が強く、寒気が暖気の下に潜り込むようにして進む時にできる前線です。激しい上昇気流が発生することによって、積乱雲が発達しやすくなるため、短時間で激しい雨が降ったり、落雷や竜巻などの突風、ひょうが降ったりすることもあります。荒天時間は比較的短く、寒冷前線の通過後は気温が下がるという特徴があります。
そして、「閉塞前線」です。前線を伴った低気圧の構造は、前に温暖前線があり、後ろに寒冷前線があります。寒冷前線の方が動きが早いため、温暖前線に追いつくと閉塞前線になります。閉塞前線ができると、低気圧は最盛期から衰弱期に向かいますが、また、新たな低気圧が発生するというケースもあり、雨の降り方など油断ができません。
「停滞前線」は暖気と寒気の勢力が同程度であるため、名前の通り前線があまり動きません。春と夏の境目にできる「梅雨前線」や夏と秋の境目にできる「秋雨前線」は多くの場合が「停滞前線」になり、短期ではなく一定の期間、長雨となることが多くなります。
「梅雨前線」とは何か
北の冷たく湿ったオホーツク海気団と、南の暖かく湿った小笠原気団が日本付近でぶつかり合います。2つの性質の違う空気は、最初は勢力がほぼ同程度であまり動きません。このタイミングでできる停滞前線が「梅雨前線」です。梅雨前線付近では東西に長く帯状に雲がのび、雨の日が多くなり、ぐずついた天気が続きます。
「梅雨入り」から「梅雨明け」までの梅雨の期間は、その年にもよりますが、関東甲信の平年値から見るとおよそ40日間あります。
沖縄地方や奄美地方で「梅雨明け」が近づく頃には、梅雨前線は太平洋高気圧によって北へ押し上げられ、本州付近では梅雨の初期よりも梅雨前線の影響を本格的に受けやすくなります。「梅雨の最盛期」となり、雨の降る日が続くことが多くなります。
梅雨明け手前の段階となる「梅雨末期」は、これまで以上に暖かく湿った空気の影響を受け、災害をもたらすような大雨に一層の注意が必要です。近年は「線状降水帯」が発生し、あっという間に災害につながるような危険な大雨が降ることも増えてきたため、気象情報のこまめな情報収集が欠かせないでしょう。
「梅雨時期」の予報精度は?
梅雨前線が予想よりも北に停滞すれば、思いのほか晴れることもあります。また、予想以上に長く停滞すれば、想定以上に大雨をもたらすこともあります。梅雨時期の予報は、やはりほかの時期に比べるとやや精度が落ちてしまうのかというと、データを見る限り「明日の天気」に関しては、大きな差はありませんでした。
気象庁は天気予報の精度検証結果を公表しており、その中で降水の有無の適中率の例年値(全国)によると、年平均での「明日」の例年値は83%、6月も同じく83%、7月はやや下がり80%でした。「3日先~7日目先の平均」では、年間の例年値は71%、6月は65%、7月は67%とやや劣りました。雨の多いシーズンである6月から9月にかけては70%を下回りました。先の予報になるほど、雨のシーズンは予報の精度がやや下がり気味です。最新情報をこまめにご確認ください。