二十四節気「立秋」。残暑が極まり、やがて来る涼を待つころ
七十二候では「涼風至(すずかぜいたる)」。暑中見舞いは、残暑見舞いへ
さて本日迎えた「立秋」ですが、天文学的には太陽が黄経135度の点を通過するとき。暦便覧を紐解けば、「はじめて秋の気立つが故なればなり」とあります。“秋の気”が“立つ”ということは、秋の気配が現れてくるという意味合い。今日からの時節のあいさつは暑中見舞いではなく、残暑見舞いに。もくもくと力強くわく入道雲に、ときおり鰯雲がまじるようになり、夕暮れどきからは虫の声が耳に心地よく響くようになってきます。
また、七十二候では、「立秋」の初候「涼風至(すずかぜいたる)」となりました。早朝や日没後など、そよと吹く風が無性に心地よく感じるときもあり、季節は着実に陽の季節から陰の季節へとめぐりゆきます。
精霊を祭る盂蘭盆(うらぼん)も間近。京都では六道(ろくどう)参りが始まります
仏教でいうところの六道とは、地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人間道、天道の6つの冥界のこと。観世音菩薩に祈ることで、これらの世界に堕ちることから救われるといわれています。
古くから京都の東の葬送の地として名高い、鳥辺山のふもとにある「六道珍皇寺」。ここは、この世とあの世との分岐点「六道の辻」といわれる冥界との接点。お盆に帰ってくる精霊たちは、必ずこの辻を通ると信じられたことが「六道参り」の由来なのだそうです。
今年の六道参りの日程は、8月7日から10日。拝観時間は、6時から22時までとのこと。
冥界を輪廻する先祖の霊を現世へ迎え入れるのは、十万億土の冥界へも響き渡るといわれる「迎え鐘」。この精霊迎えの鐘をつくために毎年多くの参詣者が訪れます。期間中は、重要文化財の薬師如来はじめ寺宝の地獄絵等も公開され、観音さまの御加護によって、それぞれの家へ精霊を迎え、供養するのです。
西陣の「千本釈迦堂」でも8月8日から16日までこの六道参りは行われ、京都の夏の風物詩となっています。
「衣張山(きぬはりやま)」で涼をとった源頼朝の故事も
その衣張山は、標高121メートル。登れば絶景を望むパノラマが広がり、仏閣や歴史ある名所をめぐるハイキングコースが周囲に広がります。
人気の観光名所「報国寺(竹寺)」の竹林をわたる風に涼を感じるのも一興。
また、近隣には苔むした石段に時の重なりを感じる鎌倉最古の寺「杉本寺」もあり、8月10日には観音様の縁日「四万六千日大祭」が開かれます。この日にお参りすると、四万六千日(しまんろくせんにち)もの間お参りしたのと同じご利益を授かるといわれ、深夜0:00から開門されるとのこと。人のあらゆる苦しみに手をさしのべてくれるというご本尊の十一面観音に手を合わせ、あまたなる御利益を得ることで、健やかに夏を越えられたらいいですね。
※参考:年中行事読本(創元社)