「食欲の秋」 秋の味覚「さんま」は「目黒に限る」?
秋の気候
「食欲の秋」 秋の味覚の王道「さんま」
「さんま」は漢字で「秋刀魚」と書きますが、その漢字のごとく、刀に似た細長い魚で、体長は30センチほどになります。「さんま」は千島沖でたっぷりと栄養をとり、夏から秋にかけて海水温が下がるにつれて、南下を始めます。8月末に北海道の東、9月には三陸沖、10月には関東の東、房総沖まで達します。一番脂がのっているのは釧路沖の「さんま」で、南へ来るほどさっぱりとした味になっていきます。
「さんま」は栄養も豊富!良質なタンパク質、貧血防止に効果のある鉄分やビタミンA、カルシウムとその吸収を助けるビタミンDも多く含んでいます。また血液をサラサラにする働きがあるEPAと脳細胞の活性化に効果があるといわれるDHAも含まれていて、まさに老若男女に効果的な秋を代表する万能の食材と言えます。
※本文中一部誤記があり、修正いたしました。(2021年3月8日)
落語「目黒のさんま」とは
それは、落語「目黒のさんま」にちなんでいます。
時は江戸時代、鷹狩りに目黒を訪れた将軍様。立ち寄った茶屋で、さんまを食べることになりました。焼いただけの素朴なさんまは脂がのっていて、普段は手の込んだ料理しか食べない将軍様にとって、これがまた大変美味しく感じられたのです。将軍様はお城に帰ってからも、あの目黒で食べたさんまの味が忘れられず、家来にさんまを出すように命じます。しかし、さんまは庶民のもの。将軍様にお出ししたことがありません。家来は気を利かし、さんまの脂を抜き、骨を抜き、蒸して食べやすいようにしてお出ししました。しかし、肝心のさんまは脂が抜け落ちてちっともおいしくない。そこで将軍様は一言「さんまは目黒に限る」と言ったんだとか。
扇子をお箸に見立てて、焼き魚をほぐしながら美味しそうに食べる落語家さんの様子を見ていると、ついついこちらも食べたくなるものです。決まってそういう日はスーパーでついつい「さんま」に手がのびてしまうという方も多いかもしれません。
今年(2020年)は残念ながら「目黒のさんま祭り」は中止になりましたが、ぜひ自宅でさんまを美味しく味わいたいものですね。
将軍様お墨付き!さんまは塩焼きがおすすめ
《下ごしらえ》皮をパリパリに焼くには「塩」の振り方がポイント。20センチ程度上から、全体にまんべんなく振りかけましょう。手でなじませるように軽く塗り込むようにするのもポイントです。
《焼き方》グリルなら、あらかじめしっかり温めておき、中火でじっくり焼くこと。さんまの表面にしっかりと焦げ目がつくまで焼くと、旨味が増して美味しくなります。フライパンなら、中火から弱火で片面7分から8分かけてじっくりと焼くのがコツです。フライパン用のホイルシートを使うと、後片付けもラクです。
焼いたさんまには、すだちやゆず、大根おろしを添えて。大根おろしにはアミラーゼなど食物の消化を助けてくれる酵素が含まれていますので、合わせていただくと良いですね。
最近では漁獲量が低下し、庶民の味から、もはや「高級魚」になりつつありますが、これから最盛期を迎える「さんま」が手に入ったら、「目黒のさんま」の将軍様が食べた味を想像しながら、ご家庭でさんまを美味しくいただいてみてはいかがでしょうか。
参照:釧路市漁業協同組合「サンマ大辞典」、目黒区公式ホームページ「めぐろのさんまのルーツ」、山内鮮魚店ホームページ「プロが教えるさんまの美味しい焼き方」