5月21日17時45分に訪れるもの…「小満」
「小満」とは『万物(ばんぶつ)がしだいに満ちる』という意味で、「小さく満ちる頃」=「小満」となりました。日にちだけでなく、時間まで決まっている…そんな不思議を紐解いてみましょう。
※写真はこの時期害虫を退治してくれる「てんとう虫」
歳時記はもっとも身近なサイエンス
5月21~25日・初候「蚕起きて桑を食う(かいこおきてくわをくう)」
5月26~31日・次候「紅花栄う(紅花栄う(べにばなさかう)」
6月1日~5日・末候「麦秋至る(ばくしゅういたる)」
これは今年の日程ですが、歳時記は月と太陽の巡り合せにより導き出されているため、毎年少しずつ日にちがずれます。
歳時記というと、古くから伝わる習慣という、漠然としたもののようなイメージがあるかもしれませんが、実はこんなに科学的なものなのですね。だから、二十四節気の到来も、時間まではっきり判るのです。
5月21日、17時45分になったら「小満来たる」とつぶやいてみるのも一興ですね。
※日時は国立天文台HPを参照(下記リンク)
この時期の季語「薄暑」「緑雨」「麦秋」
・「薄暑(はくしょ)」…初夏でもお天気の良い日は気温が夏日となります。そんな暑さを「薄暑」と言います。まだ、本当の夏の暑さではないけれど…という前置きを含んだ意味を表している。これに「光」をつけて、眩しい日差しを「薄暑光」と言います。→色『白』
・「緑雨(りょくう)」…春雨と梅雨の間、新緑の頃の雨を「緑雨」と言います。一雨ごとに緑が濃くなる景色が浮かぶ言葉ですね。→色『緑』
「麦秋(ばくしゅう)」…麦の秋、とも言います。麦はこの季節に実りを迎える為、生まれた言葉です。五月、麦畑は黄金色に染まります。風が吹くと金色の波がざわめく音と共に揺れます。これを「麦嵐」と言います。→色『金』
太陽の光、木々の緑、実りの麦…と、初夏は様々な色を魅せてくれますね。冒頭の写真・てんとう虫も、赤や黄色などいろいろな種類があり、幼いころ、見つけると嬉しくなったことを思い出します。
ご紹介した季語を会話や文章に取り入れて、言葉でも季節を楽しんでみてはいかがでしょうか?
「初夏」も「小満」も、一年に一度しかやってこないのですから…。
《参考文献》
日本の七十二候を楽しむ
角川俳句歳時記「夏」