5月2日は夏も近づく「八十八夜(はちじゅうはちや)」…茶に日本の美意識を知る
「夏も近づく…」で始まる唱歌『茶摘み』に触れながら、茶にまつわる日本の美と心についてお話します。
*八十八夜の計算…国立天文台HP参照
八十八夜を過ぎて数日で季節は変わる…
『夏も近づく八十八夜、野にも山にも若葉がしげる
あれに見えるは茶摘みじゃないか、あかねだすきに菅の笠…』
五月の新緑が野にも山にもあふれ、茶畑には茜色のたすきがけをして菅の笠(すげのかさ)を被った茶摘みの姿が見えるよ、と季節の風景をリズミカルに歌っています。二番のはじまりは『日和つづきの今日このごろ…」とあり、この頃になると天気の良い日が続くことが描かれています。小学校唱歌なので、誰もが一度は歌ったことがあると思いますが、茶畑の無い地域ではなかなか実感できない風景です。ですが、だからこそ子供の頃から日本の初夏の原風景として覚えていたい一節ですね。
楽曲・歌詞引用 音楽研究所サイト参照
お茶と言えば、カテキン…成分以外にも知っておきたいこと
例えば、日本では茶は「茶道(さどう)」という一つの芸道へと発展しました。そのことにより、茶室のしつらいを中心に、もてなしの形式や心が培われてきたのは言うまでもありません。そして、そこには「愛でる(めでる)」という美意識が存在することも忘れてはならないと思います。
茶は中国から渡来しましたが、当初茶室(または茶席)に花を飾るという形式はありませんでした。書や器や文具などを飾るのが本来の形式でした。今では当たり前の、茶室に花を飾る習慣は日本的な心の現れだったのですね。
また、日本では茶の楽しみ方が一つではありません。抹茶(まっちゃ)・煎茶(せんちゃ)それぞれ流派があり、芸道として受け継がれています。そこには究極のシンプルが表現されています。シンプルにそぎ落とした「余白」に心を込める。これが日本の茶のもてなしの基本のようです。新茶を一服(いっぷく)飲みながら、和の心を感じてみませんか。
参考資料・文献
「茶の本」岡倉天心
「茶道のみちしるべ」サイト参照