出荷までに6年。手間も年月もかかる北海道の「ゆり根」の収穫が始まりました
食用は小鬼ゆり。「ゆり根」に「根」の字が使われているけど「茎」の一部
ゆり根には「根」の字が含まれていますが、あの丸い形のものは「根」ではなく、「隣茎」といって、「茎」の字が含まれている通り、地下茎の一部です。たくさんの隣片が重なり合って丸くなったもので、玉ネギやチューリップも似たようなつくりです。
食用になるのはほとんどが、苦味が少ない小鬼ゆりです。京都の丹波地方でも栽培されていますが、生産量の95%以上が北海道産です。主な産地は北海道の後志(しりべし)、上川(かみかわ)、十勝など。10月から収穫が始まり、12月になるとお節料理用に出荷のピークをむかえます。
真狩(まっかり)村で道内の3割を生産。ゆるキャラは「ゆり姉さん」
花に養分がいかないよう、ツボミを摘み取ってしまう
真狩村の特産物であるゆり根には、イメージキャラクターがあります。その名は「ゆり姉さん」。頭部がゆり根の形をしていて、ピンクのTシャツに赤のチェックのスカートを履いています。丸くて大きな瞳がチャームポイントで、真狩村のPRのために日夜奮闘しています。
丸くなるまで6年。秋に掘り起こし、春に植える…これを毎年繰り返す
収穫後はカボチャやサツマイモのように、2~3ヵ月寝かせてから出荷されます。そのほうが、デンプンが糖分に変わって甘味が増すからです。秋に収穫し、倉庫で寝かされ、冬に出荷されるころには甘くおいしくなるというわけです。
ゆり根が店頭に並ぶまでには、実に6年もの年月がかかります。しかも、ゆり根はとてもデリケートです。表面が柔らかいので傷つきやすく、日光にあたるとすぐに変色してしまいます。さらに、連作に弱いので、10年間はゆり根を植えたことがない畑に、毎年毎年植え替えなければなりません。
このように、ゆり根の栽培は、気の遠くなるような手間ひまがかかっているのです。
農家の方が手間ひまかけて、大切に育てたゆり根。お正月料理や和食という枠にとらわれず、様々な料理に使ってみてはいかがでしょうか。
〈参考:真狩村「ゆり根」〉
〈参考:ホクレン きたやさい「ゆり根」〉