首都圏の交通は雪に弱い? 雪と交通機関の微妙な関係

2014年2月8日 、20年ぶりの大雪に見舞われた新宿駅前の様子
首都圏や都市部で雪が降ると、すぐにマスコミに多く取り上げられるのが公共交通機関の乱れです。
道路は渋滞や通行止め、電車は遅延、運休、そして飛行機は欠航と、あらゆる交通網がパニック状態に陥ることも少なくありません。
では、首都圏でどの程度の雪が降ったら、交通機関がマヒするのでしょうか?
気になる雪と交通機関の関係を探ってみました。
電車はポイント対策が分かれ目!
雪国ではあらかじめ除雪・融雪設備などが完備してありますから、積雪が数メートルになっても平常通り運転できますが、首都圏ではわずか数センチの雪で運休になることも決して珍しくはありません。
原因として多くあげられるのが、ポイント故障です。
路線網が発達した首都圏ではそのぶんポイント数も多いのですが、年に数度の積雪のために融雪装置をすべてに設置するわけにはいかないため、雪が積もってくるとポイント故障が発生し、運行に支障が発生します。
さらに、降雪量が多くなると視界が遮られて徐行運転をせざるを得ませんし、雪に慣れない乗客も乗り降りに時間がかかるため、遅延が多く発生することになります。
飛行機は離発着が問題
まずは、視程基準。
滑走路はシャーベット状や凍結した場合など状態に応じて基準が細かく定められています。除雪ができないと判断されると滑走路は閉鎖になり、すべての滑走路で離発着ができない場合は空港自体が閉鎖になります。
さらに、機体や翼の上に雪があるかどうかも問題に。
機体についた雪は解氷剤や除雪剤を散布して溶かしますが、羽田空港など駐機している飛行機が多い大きな空港では、除雪が間に合わないことが多く、やむを得ず欠航になってしまうことも……。
たとえば、東京と札幌で雪が降った場合、除雪能力の高い千歳空港では問題がなくても、羽田空港では滑走路の閉鎖により、東京―札幌便は欠航、ということも起こりえます。
また、航空会社や使用する機体、空港の設備、パイロットの資格など、運航基準はそれぞれで異なるため、単に「積雪量何cmで欠航」といえない事情もあります。
こうしたことからも、積雪時にフライトを予定している場合は、空港に赴く前に最新情報を取得するようにしましょう。
バスや車は道路が黒く見えたら要注意!
まず最高速度の規制があり、次に冬用タイヤ規制、チェーン規制が行われたうえで「通行止め」となるのですが、積雪量によっては、チェーン規制等をせずに即時「通行止め」になることも。
この場合も明確な積雪量の基準はなく、基本的に警察機関により決定されます。つまり、安全に車が走行できないと判断された場合は、すぐさま「通行止め」の判断が下されるため、先を急ぐドライバーは早め早めの情報収集が大切となります。
さらに、雪が圧縮されて凍りつき、路面が凍結している時は、スリップ事故が多発しやすい危険な状態だということは、ドライバーであれば誰もが知ることですが、特に注意すべきは「ブラックアイスバーン現象」です。
この現象は、一見濡れた状態の黒っぽい道路に見えますが、実は道路の表面が薄い氷の膜で覆われているため、氷の上を走っていることと同じになります。こうした場合は運転をやめ、車を安全な場所に待避させるべきですが、やむなく運転しなければならない時は、スタッドレスタイヤやチェーンを装着し、前後左右に細心の注意を払いながら、最徐行での走行に努めましょう。
都心部、郊外、それぞれの問題点も認識しておこう
このことから郊外に帰宅する人は、同じ積雪量でも都心より郊外のほうが交通マヒの確率が高いことを理解しておくと、いざというに役立つでしょう。
いずれにしても都心部での交通機関の乱れは、雪に対する設備力の低さや、雪に慣れていないことが一因となっています。さらに、首都圏の交通機関特有の「秒単位で発着する過密ダイヤ」「渋滞が慢性化する高速道路」といった状況からも、一朝一夕に雪に対する課題が解決されるとは考えられないため、公共交通機関を利用する側が日ごろから正しい知識を身につけ、的確に対処することが降雪時の最大の対処法となりそうです。