冬も暖かく快適な美術館へ! じつはひとりのほうが楽しめる?
美術館は、展示作品と1対1で対話するところ!
いま多くの美術館で、子ども用ガイドブックを配布したり、子どもの館内鑑賞ツアーが企画されたりしています。子どもたちが生涯アートに親しんで生きられるように、ひとりで美術作品と向き合える「自立した鑑賞者」を育てたいと願う教育の一環なのです。
出会いの場においても、グループでいるよりひとりの時に出会った相手のほうが、初対面の印象が強く残りませんか? 美術館に展示されている作品たちは、あなたに出会いたくてそこで待っているのですね。だから、なんの先入観も持たずに出会ってコミュニケーションするには、ひとりの方がむしろたやすいのです。
人間同士でも気の合う人と合わない人がいますが、美術作品も同じ。ある人が「カレ(この作品)最高〜!!」と興奮するのに、あなたは「それ本気ですか」などとピンとこないこともあるでしょう。そのときは「ピンとこない」という感覚を楽しみつつ、別の相手(作品)を探します(カレを好きな人のために、あまり悪口は言わないでおきましょうね)。
ひとりだと「出会いのアンテナ」も反応しやすいのです。それに、初めはピンとこなかったのに見ているうちだんだん気になってきて、やがて愛情が芽生え・・・なんてこともあるかもしれませんよ!
作品前での解説は、プロにまかせましょう
美術館で仲良し同士鑑賞しながらおしゃべりするのは楽しそうですが、じつはかなり上級マナーを要する行為なのです。ましてや同伴者に絵のレクチャーしている人をときどき見かけますが、作品前をふさいで声高に説明したりすると周りの人はとても迷惑! なかには画面すれすれを指さして監視の人に注意されてしまう人もいます。絶対マネしないでくださいね・・・。
もし作品の解説を聞きたいときは、多くの企画展で入り口にある「音声ガイド」を借りるか、解説つきの館内イベントがあれば利用してみましょう。展示室内の長椅子に、図録や説明ファイルが置いてあることも。基本的なことなら、スタッフの人に質問するとたいていの場合教えてくれますよ。
ひとりだと堪能しやすい理由とは
「そろそろ次に進まないと連れは退屈するかも?」などと気を使うことなく、気に入った作品があったなら何時間そこにいても何度そこに戻ってきても、思いのままです。
・黙って移動できる
「この作品わからないし面白くないんだけど、連れがまだ観ているから移動しないでおくべきか」「黙ってトイレ行くと捜されるよね」などとガマンすることなくその場から動けます。ひっかからない作品は素通りすればよいし、本当につまらなければ早々に帰ることだってできるのです!
・しゃべらなくてすむ
「もし感想を聞かれたら、なんて答えればいいんだ」というプレッシャー以前に、作品の前での話し声は意外と気になるもの。ひとりなら、周囲の邪魔になったり鑑賞ルールに触れたりする危険はまずありません。
・ ゆっくり余韻に浸れる
退館したらどこかに座って、買った絵はがきを眺めたり作品リストで気になった作品名をチェックしたり、しばらく無言でぼ〜っとできます。まさに至福の時間です。
つまり「ありのままの自分」で作品と向き合えるってことなんです!
それは自分自身と向き合うことにもつながります。どんな色をきれいだと感じるのか、すぐに目が行くアイテムは何か、ちょっとキツいと思うのはどんな表現か・・・等々、美術作品を通して、自分の心の内をじっくり覗いてみるのもいいですね。
今年最初のお気に入り作品に、どうぞ出会えますように。