「霜月」なりました。『歳時記』を手に晩秋を豊かに楽しもう!

季節の変化はじわじわとやって来る!?

「おもひなし木の葉ちる夜や星の数」 水間沾徳
木の葉の舞落ちる日は気のせいか夜空の星も多いような気がします。晩秋を過ごす俳人のなんとものんびりとしたおおらかさを感じ、ゆったりとした心持ちになれる句です。
寒さにむかい縮こまってしまいがちな身体ですが、心がゆったりとできる何かを見つければ、また楽しさにつながりそうです。
「七五三」に千歳を祈る! 誰もが願う幼な子の健やかな成長

ほのほのと暖かい「小春日和」になってほしい、と切に願うのが「七五三」のお詣りではないでしょうか。医療が十分に発達していなかった時代に、子どもが無事に成長していくことは祈りに近かったのでしょう。
三歳で髪を切ってのばし始める髪置(かみおき)、初めて男の子が袴を着ける五歳の袴着(はかまぎ)、そして女の子は帯を使い始める七歳の帯解(おびとき)と、成長の節目を古くから祝ってきました。
医療が発達した現代でも「子どもは天からの授かり物」という気持ちは変わりません。健やかな成長を「千歳」にと願いを託していきたいです。
時雨の中に咲く石蕗の輝きからやがて「小雪」へ

石蕗(つわぶき)は真っ直ぐに茎を伸ばし凛と立ち、黄色い花は冷たい雨に打たれながらも鮮やかさを保ちます。蕗に似た丸い葉が持つ艶は寒い季節に活き活きとしたエネルギーを発散しているように感じます。門先や玄関先、庭石や手水鉢のかたわらが似合うのは、ひとつの世界を作り出す力を石蕗が持っているからかもしれません。
「さびしさの眼の行く方や石蕗の花」 大島蓼太
俳人の目を捉えた石蕗の花のはなやかな色が、さびしさと対比されて浮かんできます。枯れながら色をなす紅葉、寒さの中にも瑞々しさをもって咲く花、それぞれの時を経て晩秋から初冬へ、季節は明るさの裏に寂寥感を宿しながら進み「小雪」となり「霜月」も終わりをむかえます。
さあ、いよいよ寒さと向き合う季節の到来です。晩秋の名残を楽しみつつ冬支度へと進んでまいりましょう。