限られた時期しか見られない「宵の明星」と「明けの明星」。5月22日は金星と水星の競演に注目
今回は、地球に最も近く、太陽と月の次に明るい金星について、そして5月下旬に楽しみたい星空についてご紹介します。
「宵の明星」が見られるのは、6月上旬まで
明けの明星と宵の明星は、金星の運行によって周期的に交互に繰り返してあらわれるので、同時期にふたつを見ることはできません。タイミングによっては、1~3か月ほど両方とも観測できない時期もあります。明けの明星も宵の明星も、いつでも見られるわけではないのですね。
現在の金星は宵の明星。6月上旬まで西の空に姿を見せてくれます。その後、太陽と地球の間に金星が入るため観測できなくなります。1か月弱の空白を経て、6月下旬以降は明けの明星として東の空に姿をあらわします。2021年2月を過ぎると、今度は金星が地球から遠ざかり、見えにくい時期が約3か月間も続くことに。
今年の宵の明星が見られるのは、あとわずか。そのラストを飾るように水星が姿をあらわします。
明け方と宵のみ輝く内惑星、水星と金星
地球から見て、内惑星が太陽から西側にいちばん離れた時を「西方最大離角」と、東側に離れた時を「東方最大離角」と呼んでいます。この「最大離角」のときが、地平線からいちばん高く内惑星が見えるときで、観測しやすい時期になります。
太陽系の惑星のなかで最も内側にある水星は、地球から見ると太陽から大きく離れることがありません。そのため、観測できるのは日の出直前または日の入り直後のみ。肉眼で見るのが難しい天体ですが、この時期は金星を目印にして水星を見つける絶好の機会です。
5月22日は水星をみつけるチャンス!目印は明るく輝く金星
日の入り30分後のまだ明るいうちに、西北西の空を眺めてみましょう。右側に宵の明星の金星、そのすぐ左側に水星を並んで見ることができます。24日には月齢2の細い月も近づき、3天体が三角形に並んだ姿となります。低空での現象となるため、なるべく視界を遮るものがないところから観測したいですね。
水星は6月1日には2020年を通して最も高い高度に達し、13日頃まで見やすい状態が続きます。一方、金星は5月30日には地平線に近づき、6月上旬にはほぼ見えなくなってしまいます。この時しかない、黄昏時の美しい天体の競演を楽しみましょう。