カムバック請負人、アカデミー賞請負人、そんな監督たちの映画が面白い⁉︎
ノミネート作品など映画が気になる季節です。今回はアカデミー賞とも関係の深い二人の監督、クェンティン・タランティーノ監督、デヴィッド・O・ラッセル監督の魅力に迫ってみたいと思います。
カムバック請負人と言えば…クェンティン・タランティーノ監督が有名です。
子供の頃から観てきた膨大な映画の数々。彼はそんな大好きな映画へのオマージュを臆することなく自身の監督作品に投影することで有名です。深作欣二監督など日本映画からも多大な影響を受けていると言われています。「キル・ビル」を観れば一目瞭然ですね。
又彼は、自分が愛して止まない「映画」に出ている俳優たちにも並々ならぬ思い入れがあるようです。
彼がかじりついて観ていたスクリーンに映し出されていたスター達が落ち目になっているのを放っておけないようなのです。彼が復活させたスターと言って真っ先に浮かぶのは、ジョン・トラボルタではないでしょうか。
「サタデーナイトフィーバー」でブレイクしたトラボルタですが、その青春スターのイメージをなかなか払拭できず、出演作は続いたものの大人のヒット作には恵まれず低迷期が続いていました。そこに現れたのがデビュー作「レザボアドッグス」のヒットで注目を集めていたタランティーノ監督です。彼はトラボルタを主役に迎え「パルプフィクション」を大ヒットさせました。インパクトのある髪型(センターパーツのロングヘア)で「サタデーナイトフィーバー」のセルフパロディのような奇怪なダンスを踊る殺し屋を演じたトラボルタは、見事再ブレイク。その後は次々と大作の主役に抜擢されていきました。1ファンとして観客の目線で大好きな俳優たちをつぶさに見続けてきた彼だからこそ、その俳優の隠れた魅力を引き出す事に長けているのかもしれませんね。
タランティーノ監督がカムバックさせた俳優は他にも。「ジャッキー・ブラウン」では70年代に人気を博した、パム・グリア。彼が熱狂的なファンとして有名な千葉真一も「キルビル」に出演しました。
近年、受賞男優&女優の陰にこの人あり。
彼の最近の3作は2010年の「ザ・ファイター」、2012年の「世界でひとつのプレイブック」、2013年の「アメリカンハッスル」。「ザ・ファイター」では助演男優賞/クリスチャン・ベイルと助演女優賞/メリッサ・レオ、「世界でひとつのプレイブック」では主演女優賞/ジェニファー・ローレンスがそれぞれオスカーを手にしました。「アメリカンハッスル」は無冠に終わりましたが10部門にもノミネートされました。
もうすっかり近年のアカデミー賞常連監督となったラッセル監督ですが、自身はまだ監督賞のオスカーは手にしていません。だからこそ彼に冠された別名が「アカデミー賞授賞請負人」たる所以かもしれません。彼の映画に出演すればアカデミー受賞も夢じゃない!俳優達が今一番キャスティングされたい監督かもしれませんね。
実はそんな彼もある人物にカムバックさせてもらったのをご存知ですか。彼は、その気性の激しさから製作現場で様々なトラブルを起こしてしまい「ハリウッドの問題児」と言われていた時期も。映画界から干されてしまいました。その時支えになったのは彼と親交が深かった俳優のマーク・ウォルバーグ。ラッセル作品に出演したことがあるウォルバーグは彼の監督としての類い稀な才能が埋もれていくのを見ていられなかったようです。彼に手をさしのべ一緒に作り上げたのがカムバック作「ザ・ファイター」でした。主演はもちろんマーク・ウォルバーグ。ラッセル監督はは干されていた低迷時代、メンタル面で問題を抱えた息子のケア・離婚などを経験しました。その時の辛い様々な経験を作品に反映していきました。俳優達に奥行きのある演技をさせる事が出来るのも彼自身がどん底を見た経験があるからではないでしょうか。
来月に迫った第88回アカデミー賞でも最新作「joy」に出演したジェニファー・ローレンスがまたもや主演女優賞にノミネート。アカデミー賞常連監督がすっかり定着したようです。
今年もいよいよ来月に迫りました。アカデミー賞授賞式。この二人の監督に注目です。
タランティーノ監督は残念ながら今年度製作の作品はありませんが、過去、様々な部門でノミネート・受賞を経験しています。ラッセル監督も自身のノミネートはないですが、この二人の監督はきっと授賞式に参加、会場のファンや関係者から注目を集めることでしょう。
アカデミー賞は同業者同士のアカデミー会員によって選出される賞。映画界仲間から信頼の厚い人が受賞しやすいと言われています。
この二人の監督の共通点は自分を飾らずさらけ出しているところではないでしょうか。タランティーノ監督は自分の好きなものはどんどん映画に取り入れうっかりすると「真似したよ!」と素直にあっけらかん話してしまうほど。真似された方もそんなに好きなら…と思わず嬉しくなってしまうのは彼の素直で屈託のないキャラクターだからこそ。又ラッセル監督も過去の自分のトラブルを素直に認め、その時の経験を作品に活かして人々の共感を呼ぶ作品を作っています。
そんな二人だからこそアカデミー賞の常連監督として多くのファンの信頼をも掴めたのではないでしょうか。
ノミネート監督にも注目ですが、この二人の監督にもぜひ注目してアカデミー賞授賞式チェックしてみるのはいかがですか。