二十四節気「霜降」。露から霜に。季節は駆け足で晩秋から初冬へ
霜降(そうこう)/露が陰気に結ばれて霜となりて降るゆえなり
~露が陰気に結ばれて霜となりて降るゆえなり~と暦便覧に記されるように、早朝に草木を湿らす露が霜へと変わる頃。辺りの風景は次第に赤や黄色、金色に日々染めかえられていきます。気温が4度以下となり、地表付近が氷点下になることが、霜が降りる条件。のつく秋の長雨で、さらに霜が降りやすくなり、初霜が見られるのも例年より早くなってくるかもしれません。
霜降の花景色/金色に群れ咲くセイタカアワダチソウの受難
この中のひとつ、ブタクサによく似ているけれど、ひときわ背が高く、派手な黄色い花が群落となって盛大に咲く植物があります。その名もセイタカアワダチソウ(背高泡立草)は、北アメリカから渡来し、高度成長期に爆発的に全国に分布した秋の花。一時期はススキをも追い散らすほどの勢いで繁茂したこともあり、長らく喘息や花粉症など花粉アレルギーの原因だと噂されてきました。ところがこれは、まったくの濡れ衣、風評被害。実はセイタカアワダチソウの花粉は昆虫によって媒介され、風によってばらまかれるものではないそうなのです。
原産地ではハーブとして扱われ、花はハーブティに、若芽も食用になるセイタカアワダチソウ。まるでクリームのような形状で泡立つように咲く黄金の花房は、秋の野の風物詩。これまでなんとなく避けてきたこの花の美しさを、豊かに咲く花の風情を、この秋は改めて見つめ直してみたくなりました。
霜降の食卓/江戸時代発祥のあったかメニュー「おでん」
つけだれの種類、具材となるおでん種は、全国各地、家庭によってもさまざま。近所のコンビニでも買えるけれど、旬を迎えた大根が手に入ったら、好みの味で好みの種を、大きな鍋でコトコトぐつぐつ。蓋を開けたとたん立ちのぼる湯気と出汁の匂いに包まれれば、身も心も芯からあったまることでしょう。
霜降の風物詩/今年は11月1日。「十三夜に曇りなし」
巡る月日はいつも速足だけれど、しばし昇る月を心穏やかに待つのも一興。煌々と冴える月の姿を愛でるひとときを、晩秋の長い夜にゆるりと愉しんでみてはいかがでしょうか。