秋から冬へ…冬の星座・オリオン座から一足先に流星がご挨拶
サイエンス
9月の芋名月に続き、10月13日には後の月とも呼ばれる栗名月が夜空を照らし、満月を超えたこの頃…北からは初冠雪、山々からは紅葉の知らせが届き、秋がいよいよ佳境を迎え始めました。歳時記では晩秋。星空は一足早く、秋から冬へと移り変わる風情を見せ始めています。その一つがオリオン座流星群の極大です。さて、今年のオリオン座流星群のご機嫌やいかに?
観測数は多くないけれど…流星にとって大切なことは「ただ流れること」
オリオン座流星群は、ハレーすい星を母天体として毎年10月21日頃に極大を迎える流星群です。3大流星群(しぶんぎ座流星群、こと座流星群、ペルセウス座流星群)と比べると観測数は少ないですが、秋の澄み切った夜空を背景に、誰の目を気にするでもなく流れています。オリオン座というと冬の星座の印象が強いため「この時期に?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。そう、まだ夜空には秋の四辺形がありますが、その横に冬の大三角が表れて仲良く並んでいます。秋の星座から冬の星座へ…バトンタッチするようにも見えますね。観測数は多くはないけれど、他の流星がそうであるように、オリオン座流星群にとって大切なことは「ただ流れること」なのかもしれませんね。
今年の観測ポイントと楽しみ方
とはいえ、2006年には一時間に60個~100個の観測も記録されており、その年は出現の極大が3~4日も続いた実績もありますから、気紛れな流星群とも言えます。今年の極大日は10月21日ですが、残念ながらあまり観測に適した条件ではありません。満月から下弦へ向かう月明かりもあり、街中を離れての観測で一時間に3~5個ほど観られるのでは…と予測されています。寒くなってきたし、観るのやめようかな?と思ってしまうかもしれませんが、ちょっと待ってください! オリオン座の一角をなす一等星のペテルギウスが近いうちに爆発してオリオン座が消えてしまうかもしれないという説(注)があるのをご存知ですか? 人に寿命があるように、星にも寿命があることをこの説から感じます。いつまで観えるのだろう…そう思うと、今年のオリオン座流星群が愛しく思えてきます。
(注)出典 ニュートン 2012年2月号
10月21日、22日は三鷹へ行きましょう!
オリオン座の消滅危機だけでなく、宇宙や星にはわからないことがたくさんあります。その不思議を少しでも知りたいと思う方は、この週末は国立天文台(東京都三鷹市)で行われる「三鷹・星と宇宙の日」というイベントへ参加してみてはいかがでしょうか。
『国立天文台、アストロバイオロジーセンター、東京大学天文学教育研究センター、総合研究大学院大学天文科学専攻の特別公開です。施設公開や講演会など、盛りだくさんの内容です。協力団体による物品販売や天体観望会、三鷹市星と森と絵本の家でのイベントもあります。』(国立天文台㏋より)
イベント専用のインスタグラムによるフォトレポートや、参加できない方のために、講演会のライブ配信なども企画されています。秋の一日、星と宇宙の不思議と向き合ってみてはいかがでしょうか?
参考文献・サイト
国立天文台公式㏋
アストロアーツ
ニュートン
展覧会や歳時記など、芸術全般について観たもの・感じたことを綴ってまいります。好きな言葉:「余白」、「和み」、「うつろい」
最新の記事(季節・暮らしの話題:サイエンス)