三月の異称は「弥生(やよひ)」だけではなかった…春は夢見る季節?
季語「春の夢」、季節の花「ニゲラ」の花言葉も併せてご紹介…
弥生の勢いと夢見る頃
それでいて、この頃はその反動でしょうか、気だるさや眠気を感じやすくなる頃でもあります。その眠りの中で見る夢を「春の夢」という季語で、古(いにしえ)の歌人は和歌に詠んだものです。天文用語でもある「霞(かすみ)」「朧(おぼろ)」など、ぼんやりとした空気感が、「夢と現(うつつ)」の間のように感じたのでしょうか。現代でも、短歌や俳句に使われる季語です。
溢れる勢い、まどろみ、そして見た夢のはかなさ。弥生は、季節も人も、行きつ戻りつ「たゆたう」感じがあります。これが、「夢見月」と呼ばれる所以(ゆえん)でしょうか。
夢で逢いましょう…と言ってくれる花
花言葉は「夢で逢いましょう」。誕生花としては夏に分類されることが多いのですが、春に花咲き、その後実になり、種になった姿もかわいらしい様子で、春から夏までじっくりと目を楽しませてくれます。原産は南ヨーロッパ。江戸時代に日本に渡ってきました。江戸時代はさまざまな物たちが遠い異国からやってきたのですね。このはるばる遠くからやってきた「ニゲラ」は、白や青の花を咲かせてくれるのですが…細い葉、ふわふわとした花びらが春の緑の中で揺れる様は、まるで夢をみているような風情を漂わせています。ピンクや黄色などの発色の良い目に鮮やかな花が多い中、緑と青と白という目にも優しい色合いでニゲラは私たちに安らぎをくれます。「ほら、目をつぶってごらん、夢で逢いましょう…」そう言っているかのようです。
さて、夢見月にどんな夢を見ましょうか?