北海道でブリが豊漁 !? 海水温上昇で、とうとう北の海にもブリが…。
海水温の上昇で、ブリやメカジキなども北海道で獲れる。
ブリは九州の南部で産卵します。その稚魚は北海道の南部へと北上し、北の海の豊富なエサをたくさん食べます。秋になり水温が下がると南下して、九州へと戻ります。この南下の途中に日本海の石川・富山・福井あたりを通るのが、ちょうど今ごろで、この時期のブリが「寒ブリ」と呼ばれ、最も脂がのっていておいしいといわれています。
ブリの高水温の限界は23℃。これが以前は道南あたりだったのですが、最近はオホーツクにまで上がることもあります。7月に積丹半島あたりへ北上してきたブリは、さらにオホーツク海へと回遊します。そのため、秋になり南下をはじめた脂ののったブリが、石川よりも北の海でも獲れるようになった、というわけです。
船の上で “活締め” し、鮮度を保つ。日高ではブランド化。羅臼でも価格が安定。
照り焼きもおいしい !!
知床半島の東側に位置する羅臼町(らうすちょう)。サケやスケトウダラ、ホッケやイカの水揚げを誇るこの町で、ここ数年、サケの定置網にブリが大量に混獲されるようになりました。温かい海水を好むブリが、オホーツク沿岸の羅臼町で…。地元の漁業関係者も困惑の色を隠せません。しかし、ここ羅臼のブリは形がよく、脂ものっているので評判がいいようです。水揚げ後すぐに、船の上で活締めされたブリは、今のところ価格が安定しています。今後ブリは、羅臼の主要水産物となるのでしょうか。
北海道では見慣れないブリ。食べ方がわからない主婦も…。
そんな主婦向けに、情報番組などでブリの料理法が紹介されています。漁師さんのオススメの食べ方は、ブリの切り身をムニエルにして、ポン酢をかけて食べる、というものです。寒ブリと違ってまだ脂が乗りきっていない時期のブリは、煮つけよりも、ムニエルのように少し油を加えた料理がオススメということです。
去年あたりからは、北海道の“寒ブリ”も脂がのっていて、日本海産に負けないくらいおいしいといわれています。スーパーでも徐々にブリが浸透しはじめていて、刺身をはじめブリ大根、照り焼きなども一般的になり、安くておいしいと好評です。
出世魚のブリ。北海道では、フクラゲ→イナダ→ブリ。
体重が1kg未満のものは「フクラゲ」、または「フクラギ」。1kg から5kg未満のものは「イナダ」。5kg以上のものを「ブリ」と呼んでいます。秋のころのフクラゲについては以前から出回っているので、見慣れている道民も多いと思いますが、最近は、それより出世したイナダやブリも、スーパーなどで販売されるようになりました。
〈参考文献:佐藤充、「積丹半島に来遊するブリについて」、北水試83、2011〉
海水温の上昇や乱獲によって、北海道の漁業が変わろうとしています。ホッケやサンマ、シシャモやサケ、ホタテやカニ…。以前の北海道ブランドの水産物が、確実に減ってきています。かわって獲れているのが、ブリをはじめ、マグロやメカジキなど、本来温かい海にいた魚たち。今後、日本の“お魚マップ”はどうなってしまうのでしょうか。