都心の癒しスポットの穴場、さくらまつりの国立劇場を存分に楽しもう
希少・多彩な桜が次々に満開に。3月中はライトアップも
神代曙の次にも、駿河桜、仙台屋、八重紅枝垂といった桜が、数日ごとに満開時期を迎えます。さくらまつり期間のお昼は、劇場外でも飲み物や軽食を販売中。月末の休日には舞台衣装体験コーナーなど、レアな体験イベントもあります。(開催時間に限りがあり雨天中止のイベントもありますので、詳しくは専用サイトでご確認ください)。期間中の夜間ライトアップは、21時まで。仕事帰りに、都心の夜桜散歩はいかがでしょうか。
そして国立劇場の庭ならではの粋な図らいと言えるのが、演目にちなんだ木々の存在。先に満開を迎えた熊谷桜は小ぶりな八重の花ですが、過去の歌舞伎公演「一谷嫩軍記」の際に、埼玉県熊谷市から寄贈されたもの。歌舞伎ファンなら誰もが知る名作、三段目の『熊谷陣屋』では、桜の若木と「一枝を伐らば、一指を剪るべし」の文言が、重要な伏線となっています。早春には三大名作の一つ「菅原伝授手習鑑」にちなみ、太宰府天満宮より寄贈を受けた、紅白の梅の木も花を咲かせます。名作に込められた日本人の四季への思いを、演目とともに庭の花々で体感できる。素晴らしいことですね。
小劇場での桜にちなむ歌舞伎公演は出色。歌舞伎を知るには情報サイトがお薦め
続く歌舞伎舞踊劇の『積恋雪関扉』は常磐津を代表する大曲といわれ、雪中に小町桜が咲く逢坂の関が舞台。関兵衛実ハ黒主、小町姫・墨染実ハ小町桜の精、といった登場人物名が示すように、ユーモラスな問答から恋心を掻き口説く流れに移ったり、緊張感のある場面が一転して陽気な踊りになったりと、次々に歌舞伎ならではの仕掛けが繰り広げられます。夢幻に満ちた桜の精の登場に続く、墨染と黒主の豪快な見あらわしと大立廻りは、圧巻です。
また、歌舞伎鑑賞の手引きとしては、国立劇場歌舞伎情報サイトがお薦めです。上演中の演目をはじめ、歌舞伎の歴史や用語事典、歴代の演目などが網羅され、手広く頼りになります。伝統芸能で学ぶ英語教材『DISCOVER KABUKI(歌舞伎入門)』も、外国人への日本文化の紹介をサポートしてくれることでしょう。お花見から伝統芸能鑑賞まで、初心者からマニアまで、リアルからバーチャルまで。国立劇場を堪能し尽くして、お楽しみを増やしたいものですね。