11/21より「神在祭」(出雲大社)開催。全国の神々が集う縁結びの大会議に出席しない「龍伝説」とは?
出雲ともう一カ所「神在月」があるという。その謎を解くのが、諏訪の巨大な龍神様
出雲大社に八百万の神が一斉に集まるため、全国から神様がいなくなる、といわれているのは有名な話ですね。
神様が出雲の国で話し合いを行うのは、旧暦10/11から17までの7日間。
今年は11/22(日)〜28(土)にあたり、11/21(土)夕刻から神迎神事が始まり、神在祭へと続きます。
しかしこの時、出雲を訪れない神様がただ一人いるのです。それが信濃の国の龍伝説……。
なぜ、この神様はやってこないのでしょう。神在祭とともにご紹介しましょう。
目に見えない神事を取り仕切る「出雲大社」の神
大国主大神と稲羽の素兎(因幡の白兎)
全国各地から出雲に集まった神々は、男女の縁をはじめとする人のご縁を決める「神議り(かむはかり)」を行うとされています。
そして、出雲大社に祀られているのは、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)。
── 遙かむかしむかし、日本の国造りをされた大国主大神は、天照大神(あまてらすおおみかみ)に国譲りをされました。このとき、現世の政事(まつりごと)は天照大神に、人のご縁など目に見えないことは大国主大神が治めることになったといわれており、それが年に一度の八百万の神が集まる「神在祭」へと結びついているのです。
全国の神々が集まる11月21日(旧暦の10月11日)の夕刻7時——。
国譲りの地である稲佐の浜にて御神火が焚かれ、浜にやってくる神々お迎えする「神迎神事」が行われます。
神事が終わると、龍蛇神が神々を先導しながら、大国主大神の待つ出雲大社へ。
提灯が並び、奏楽が奏でられるなか、参拝者たちも出雲大社へ続く「神迎の道」を歩きます。
こうして始まる神在祭の一週間。全国八百万の神々をお迎えして、神秘的かつ厳かな神事が執り行われるのです。
「神在月」は出雲だけではなかった。 諏訪地方にも神無月はない!?
延享元(1744年)の造営。国宝の出雲大社本殿
その伝承を今に伝えるのが「信濃の国の神無月」(長野県の民話)です。
── 十月になると諸国の神々は出雲大社にお集まりになりました。しかし、信濃の国の諏訪の龍神様だけ姿が見えません。待てども待てども、やってこない。しびれを切らして神様たちがざわめきだした頃、「わしはここだ」と天井から轟くような大きな声が聞こえてきました。
そこには赤い舌を出した巨大な龍が、梁という梁に巻き付いて、恐ろしげに目を光らせています。
「体が大きくなりすぎて、この社(やしろ)を七巻き半しても、まだわしの尾は信濃の松にひっかかっている。姿は変えられぬから、このまま降りていこう」。
それを聞いた神様たちは恐ろしくなり、「いえいえ、それほど大きな体でしたら、信濃の国にいられしてください。相談事はこちらから出向いて参りましょう」。「それはありがたい」と、龍神様は諏訪湖へ帰っていったそう──。
この伝承によって、信濃の国に「神無月」はなくなり、現在の諏訪地方は出雲同様、旧暦10月を神在月というのですね。
ちなみに、諏訪大社に祀られている建御名方神(たけみなかたのかみ)は、武神としての性格をもつ国譲り神話にも登場する有名な神様です。
その建御名方神の父親は、出雲大社にいらっしゃる大国主大神(おおくにぬしのみこと)。
逸話によると、父・大国主命の命令で、武甕槌神(たけみかづちのかみ)と力比べを行った際、残念なことに建御名方神は敗れてしまい、信濃諏訪湖に逃れたそう。そのとき「この地から出ない」と建御名方神は誓ったそう。伝承といえども、様々な人間模様(神様模様?)があり、興味深いですね。
さあ、いよいよ「神在月」が始まります!
全国から神々が集う「神在祭」。神秘の伝統行事
恋人募集中の方や生涯の伴侶を探している方はもちろん、多幸とご縁を求める方はぜひ早めに計画を立てて、全国の神々に良縁をお願いしてみてはいかがでしょう。
神在祭のおもなスケジュールは、下記の通り。
◎ 神在祭 11月22日、26日、28日(旧暦10月11日、15日、17日)
◎ 縁結大祭 26日、28日(旧暦10月15日、17日)
※参列するには事前申し込みが必要です(締切は11月16日)。出雲大社のHPで公開されています。
●出雲大社 神在祭の詳細は、下記リンク先でご確認のうえ、お出かけください。
◎ 神等去出祭 11月28日、12月7日(旧暦10月17日、26日)
参考/出雲観光協会公式HP、出雲大社HP