読めそうだけど読めない、都会にあふれる「簡体字」を観察する
これは簡体字で「歓迎光臨」。意味は「ご来場を歓迎申し上げます」
これにともなって鉄道の駅名表示やバス車内の表示も英文、中国語、ハングルで記されることは普通になってきました。その中で特に中国の簡体字は読めそうだけど、読めない、と感じている人が多いのではないでしょうか。
そもそも「簡体字」ってどんなものでしょうか。
簡体字はどうしてできたか
トイレでもこのような表示を見る機会が増えましたね
漢字はたった26文字のアルファベットと違って、一つ一つの語に対応した何千という漢字をそれぞれ覚えなければなりません。画数も多いですね。
これは初等教育にとって効率的でない、と考える立場があります。中国20世紀初頭まで存在した「清王朝」の末期、アメリカをはじめとする近代的な西欧文明に対して、中国が後れを取ってしまったのは、学ぶのに手間と時間がかかる「漢字」に原因があると中国の知識人は考えました。
分かりにくいものがあることも事実です。たとえば終⇔终 などはわかりやすいでしょうが、書⇔书などはかなり分かりにくいですね。
台湾と中国の漢字はなぜ違う
空港で。簡体字の部分は「美国(アメリカのこと)及国際出発」と表記
同じ民族なのに、使う文字が異なっているという事態の背景には、おおまかに言って、こうした理由があります。
主に東アジアの漢字を使う地域を「漢字文化圏」と呼ぶことがあります。
ただ、韓国は独自の文字「ハングル」を作りましたし、ベトナムももとは漢字を使っていましたが、現在はアルファベットです。また日本のように「かな」を創り出した日本のような例もあるように、漢字文化圏と言ってもその内実はなかなか複雑です。
とくに観光地などの「漢字」が、どんなふうに使われているかをくわしく観察すると世界が見えてくるかもしれません。