<2024年お天気総決算②>お天気トレンド大賞PR
この1年で、気象業務に携わる者たちの間で話題になった言葉や、新たに登場した言葉を選出する「お天気トレンド大賞2024」を発表します!日本気象協会所属の気象予報士105名へのアンケート調査をもとに、上位5位までを選出しました。
TOP5を一気に紹介
日本気象協会に所属する気象予報士105名にアンケートした結果、「2024年お天気トレンド大賞」1位に選ばれたのは「元日の地震」でした。
TOP5や選んだ気象予報士のコメントなどを詳しく見ていきましょう。
1位「元日の地震」
2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震は、マグニチュード7.6・最大震度7の大地震となり、震度7を記録したのは2018年の北海道胆振東部地震以来、観測史上7回目で、令和に入っては初の震度7の地震となりました。また地震に伴い、津波も発生し、北海道から長崎県までの広い範囲の津波観測点で津波を観測しました。
後の調査から、新潟県の上越市船見公園では津波が5.8mの高さまで遡上したことがわかりました。
<選考した気象予報士のコメント>
「地震はいつでもどこでも起こりうることを改めて思い知った」
「新年早々の大地震の発生は、帰省中や旅行中など、日常生活以外で被災した場合のことを考えるきっかけになった。」
「数千年に一度の地震を遠い将来ではなく明日あるかもと感じるようになった。」
2位「また猛暑」
2024年の夏も暑くなりました。
夏の平均気温の平年差は、東日本で1.7℃、西日本で1.4℃、沖縄・奄美で0.9℃とそれぞれ高くなり、1946年の統計開始以降、西日本と沖縄・奄美で1位、東日本で1位タイの高温となりました。より細かく見ても、全国153の気象台等のうち80地点で、平均気温が夏として歴代1位の高温となった(21地点のタイ記録を含む)ほか、今夏も最高気温が40℃以上となる酷暑日<注>を静岡市や佐野市などで観測しました。
●最高気温40℃台 過去最多タイ6地点
https://tenki.jp/forecaster/keiko_mochizuki/2024/07/29/29831.html
●静岡市 全国で今年初の気温40℃以上 酷暑日に
https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2024/07/07/29467.html
<選考した気象予報士のコメント>
「猛暑であることが当たり前のようになってきた。」
「記録的が、記録的ではなくなるような感じがしている。」
「9月中旬になっても猛暑日が発生する年がいよいよ出てきたかと思った。」
<注>「酷暑日」は日本気象協会独自でつけた名称であり、気象庁が定義しているものではありません。
<出典>
●気象庁 |2024年夏(6月〜8月)の天候
https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/seasonal/202408/202408s.html
3位「迷走台風(台風10号)」
8月22日、マリアナ諸島近海で発生した台風10号は、その後発達しながら北上し、日本列島に接近しました。
特別警報が発表されるレベルの勢力であったことに加え、速度が遅く、接近前から長時間大雨が続きました。降り始めからの総降水量は、多いところで1000mm近くに達した地点もあり、各地で大きな被害が発生しました。
また、"迷走台風"の文字通り、この台風10号で特筆すべきは、その進路予想の難しさでした。
当初、本州直撃コースだった予想進路は、日を追うごとに西寄りへと変化していき、結果的には鹿児島県に上陸することとなりました。上陸後もその進路は不安定でしたが、その後四国地方を横断し、最終的には東海道沖で熱帯低気圧となりました。
<選考した気象予報士のコメント>
「当初は「伊勢湾台風コース」と言われ、地元の愛知県では大いに心配した。」
「上空の風場が定まらず、進路予測が大変難しかった。」
「台風第10号は、単なる迷走なだけでなく、予想していなかった寒冷渦の発生によって台風の進路が変わってしまったという意味でも、記憶に残る台風だった。」
4位「秋はどこ?」
毎年のように続く夏の猛暑に引き続き、今年は秋になっても長く暑さが続きました。
秋の平均気温平年差は東日本で2.4℃、西日本で2.5℃、沖縄・奄美で1.4℃とそれぞれ高くなり、1946年の統計開始以降、最も気温の高い秋となりました。
全国153の気象台等のうち120地点で、秋の平均気温が歴代1位の高温となった(4地点のタイ記録を含む)ほか、11月に入っても各地で最高気温25℃以上の夏日を連発するなど、記録的に暖かい秋となりました。
一方で、11月後半になると顕著な高温傾向が急激に和らぎ始めたことで、一気に秋が通り過ぎてしまった…と感じた気象予報士が多かったようです。
●11月なのに東京は10月中旬並みの陽気 金沢など夏日
https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2024/11/04/31246.html
●11月20日 東京都心は最高気温8℃予想で真冬並み
https://tenki.jp/forecaster/y_nakagawa/2024/11/20/31449.html
<選考した気象予報士のコメント>
「10月になっても夏日が多く、衣替えのタイミングに悩んだ。紅葉とイルミネーションが同時になってしまったのも2024年ならではの特徴だった。」
「夏から突然冬になったようだった。」
「11月になっても暖かすぎる日が多く、秋を感じられたのは一瞬だった。」
<出典>
●気象庁 |2024年秋(9月〜11月)の天候
https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/seasonal/202411/202411s.html
5位「南海トラフ地震臨時情報」
8月8日夕方、日向灘を震源とするマグニチュード7.1、宮崎県で最大震度6弱を観測する大きな地震が発生しました。
この地震を受け、気象庁は、南海トラフ地震が発生する可能性が平常時より高まっているとして、南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」を発表。2019年の現行制度開始以来初の発表となりました。
南海トラフ地震臨時情報は、「想定震源域かその周辺でM6.8程度以上の地震」の発生か「想定震源域のプレート境界面で通常とは異なるゆっくり滑りが発生した可能性」が起きた場合に調査に入ることとなっています。実はこの日向灘の地震の約4カ月前、4月17日にも同じく最大震度6弱を観測するマグニチュード6.6の地震が豊後水道で発生していました。この時はマグニチュードが0.2足りなかったため、調査は見送りとなっています。
8月8日の「巨大地震注意」の発表直後の9日には、神奈川県西部を震源とする最大震度5弱の地震があり、地震に対する警戒感が大きく高まりました。
●神奈川県西部で震度5弱
https://earthquake.tenki.jp/bousai/earthquake/detail/2024/08/09/2024-08-09-19-57-40.html
●豊後水道で震度6弱
https://earthquake.tenki.jp/bousai/earthquake/detail/2024/04/17/2024-04-17-23-14-54.html
<選考した気象予報士のコメント>
「備えはしているつもりだが、いざとなった時にはすぐに動けそうにないことに気づいた。改めて防災への意識が高まった。」
「伝える準備や訓練はしていたが、本当に出る日が来たと恐怖を感じた。」
「南海トラフ地震臨時情報の発表により、家庭の備蓄品を見直す大きな機会となった。」
6位~9位も一気に紹介!
気象災害に立ち向かう本格ドラマが放送されたことで注目を浴び、気象業界で盛り上がった言葉としてランクインしました。ドラマ放送時、tenki.jpとドラマ「ブルーモーメント」のタイアップCMを放送しました。
7位「オーロラ」
太陽フレアの影響で、北海道をはじめ日本各地で低緯度オーロラが観測で来たことで話題になりました。北海道支社に所属する気象予報士もオーロラの観測に成功しました。
8位「紫金山・アトラス彗星」
肉眼で観測可能であるということ、もう見ることはできなくなる彗星になるかもしれないという点で注目を浴びました。気象予報士からは、災害が多い中でホッとする話題であり、宇宙の広さを感じたという声がありました。
9位タイ「ゲリラ豪雨」
今年も各地で発生したゲリラ豪雨がランクインしました。
9位タイ「じぇいわ君卒業」
電車内サイネージを通して10年以上愛されてきた、じぇいわ君の天気予報が終了し、SNSなどではじぇいわ君の卒業を惜しむ声が多数寄せられました。
2024年お天気トレンド大賞 まとめ
天気に関する言葉の中には、複雑なものやあまり聞きなれない言葉もありますが、今回選出された言葉の中で皆さんの印象に残っていた言葉はありましたか?
天気に関する言葉を通じて、より多くの方に天気をもっと身近に感じていただければ幸いです。
<調査概要>
調査対象:日本気象協会所属の気象予報士105名
調査期間:2024年12月4日(水)~12月9日(月)