今日から三月、弥生です! いよいよ到来、春の幕が上がります
「木の芽時」萌え動くのは草木たち
山椒の葉
《木々おのおの名乗り出でたる木の芽かな》 小林一茶
三寒四温といわれるように寒さと温かさの入れ替わりを繰り返しながら、さまざまな木々がそれぞれのタイミングで芽を出します。寒さの中に固く閉ざしていた枝が、新しい芽吹きで一気に柔らかさを見せると、春が確かにやってきていると実感させてくれます。
青々とした山椒の若い芽は「木の芽(きのめ)」とよみます。清々しい香りを放ち春の風味となって料理を引き立てます。擂りつぶして西京味噌とみりんを加え、出汁で好みにゆるめて和え物に。今でしたら蓮根やアスパラガス、イカとの取り合わせも美味しいのではないでしょうか。
「土筆坊」雪をかきわけて春を告げます
雪の中の土筆坊(つくしんぼう)
かわいらしい「土筆」ですが実はスギナの胞子茎です。筆のような頭にはびっしりと胞子を抱えており、気温が上昇してくると一斉に胞子が飛び出します。地面に落ちた胞子はやがてスギナとして育ちます。スギナは雑草としてはなかなかしぶとく庭などに生えてくると手こずる植物です。
《すさまじや杉菜ばかりの丘ひとつ》 正岡子規
「土筆」春の味覚にもなっています。美味しい「土筆」の選び方は穂先のしっかり閉じた物がポイントとのこと。つまり胞子を抱えているもののほうが味わいがあり美味しいということだそうです。水洗いをしたら袴をとり湯がいてアクをとってから調理をしましょう。野趣に溢れた味わいを楽しんでみるのもまた一興です。
《土筆煮て飯くふ夜の台所》 正岡子規
春の到来を教えてくれる可愛らしい「土筆」を煮て食べる。「春を喰らおう」という子規の逞しい一句です。
女の子の春を華やかに祝う「雛祭り」
初節句のお祝い
雛人形として飾るようになったのは江戸時代からとか。それまで流してしまっていた「紙雛」から、布で作られた正装の「座り雛」へ、さらに高貴な姿のお内裏様とお雛様の一対が生まれていったそうです。
《初雛の大き過ぎるを贈りけり》 草間時彦
《内裏雛五曲の金の屏風背に》 石井いさお
三人官女に五人囃子、三人仕丁に左大臣、右大臣等を配置した五段や七段かざりは生活が豊かになっていった現れでしょう。お祓いとしての「雛祭り」は無くなっていますが、健やかな成長を願って祝う気持ちには変わりはありませんね。