七月、今年も後半へ! 季節が大きく変わる夏のはじまりは意外に忙しい!?
晴れ間をみはからって天日干し!
「梅干して人は日陰にかくれけり」 中村汀女
一家の主婦の手ぎわの良さを感じる軽やかな句。ひと樽も漬ければ天日干しはけっこうな時間のかかる作業。そんな大変さを感じさせないのは、あとはお天道さまにお任せとばかりに日陰に引っこむ潔さでしょうか。梅雨の晴れ間の喜びも感じられます。
「動くたび干梅匂う夜の家」 鈴木六林男
男性の目からみた梅干しづくりでしょう。屋外で干していた梅をとりこみ、夜になって気づくと何とも言えない酸っぱい匂いを放っている。今年も美味しくできるといいなぁと楽しみにしている気持ちが伝わってきます。
こうしてできる1個の梅干しには、酸っぱさの中に健やかな幸せがつまっているに違いありません。
盂蘭盆会、日本人の情緒を実感する夏の行事です
灯籠流し
仏壇には精霊棚をしつらえ初物の野菜や果物、お菓子を供えて準備をします。心がほっこりするのが胡瓜と茄子でつくる精霊馬でしょう。ご先祖様に乗って頂くのは早く走りそうな細身の胡瓜の馬、そしてお帰りは名残惜しい思いを表したゆったり感のある茄子の牛。子供がこんな話をしてもらいながら作るところに、受け継がれる風習の良さを感じます。
始まりは夕刻に焚く迎え火や盆提灯でご先祖をお迎えします。お盆の間は家族や縁ある人々が集まりともどもに祖霊を供養し、まことの廻向をたむけます。生者と死者が心を通わせるお盆の風習は、先祖という確かな根っこにつながる自分に気づきます。そこから受け継がれていく命の大切さを、あらためて感じることができるのではないでしょうか。
お盆の終わりは火を焚いてお見送りをします。胡瓜の馬や茄子の牛、お供物を灯籠と一緒に川に流して見送るのが、灯籠流しまたは精霊流しです。ご先祖と心を通わせるお盆は、生きていく意味を見失いがちな現代にこそ大切に伝えていきたい夏の行事と思うのです。
「つるっ」と暑さを乗り越えていこう
漢字では「心太」と書きます。由来は古く平安時代にはもう食べられていたようです。10世紀につくられた辞書『和名類聚抄』に「心太(ココロブト)」として海藻でつくった食品が記されています。海藻の名前が「凝海藻(コルモハ)」とあるところから、「凝」の字が「凝(こ)り固まる」「凝(こご)る」と読め「心」につながったのかもしれません。
室町時代には「ココロブト」が「ココロテイ」と読まれるようになり、やがて「ココロテン」さらに「トコロテン」と変化していったのではないかといわれています。
現在ではテングサなどを煮溶かして固めた後、凍らせ、さらに乾燥させた「寒天」が身近に利用されています。立方体のさいの目に切れば「みつ豆」や「あんみつ」としてもおなじみです。古くから日本人に食べ継がれ愛されてきた「心太」は暑い夏には強い味方になりそうです。
参考:
『日本国語大辞典』小学館