「夏至」。太陽の力が極まる、 昼間が1年で一番長い日です
夏になったんだ!こんな鳥の声を聞いて感じました
住宅街でも聞かれる郭公の囀り
実は「閑古鳥」が郭公の別名です。お客さんがなかなかやって来ない、商売あがったりのたとえは、郭公ののんびりとした鳴き声からきたのです。
のんびりといえば、郭公はほかの鳥の巣に卵を産んで育てて貰う「托卵」という習性をもっています。巣の中の卵をひとつ持ち去って数合わせをしたり、孵った郭公の雛が間借り先の本当の雛を巣の外へ押し出したりと、その習性はなかなか逞しいようですよ。のんびりとした声とは少し違うようですね。
5月に日本に飛来して8月の終わり頃には去って行く渡り鳥の習性は、まだまだわからない事が多いようです。季節を感じさせてくれるこの囀りは、日本の夏には欠かせないキャラクターです。
菖蒲の花が咲く時期です。雨に濡れた姿もしっとりと艶やかです
花菖蒲園
色とりどりの花は大変美しく、濃い紫は華やかで薄い色とのグラデーションには気品がただよいます。黄色の鮮やかさには目を奪われ白の清楚さには落ち着きを感じます。陽差しを浴びてまっすぐに咲く姿はりりしく、雨にうたれても水を含んだしっとり感に風情があり、どの花を見てもそれぞれの美しさに心を癒され元気を貰える花です。
みなさんの家の近所の公園や水辺でもきっときれいに咲いていることでしょう。
水無月も終わりへ。「夏越しの祓え」で健やかを祈り新たな夏へ
鶴岡八幡宮の茅の輪
「みな月のなごしの祓する人は ちとせの命延ぶといふなり」
『拾遺和歌集』にある読み人知らずの歌です。この歌を唱えながら茅の輪を8の字を描くように3回くぐるというものです。今年は新型コロナウイルスの感染が広がり、世界の人々の生活が大きく変わらざるを得なくなった特別な年。昔から伝えられてきた素朴な行事ですが、こめられた祈りの心に今の私たちは大いに共感することができますね。
この日に食べるのが「水無月」とよばれる外郎(ういろう)生地の上に小豆をのせた三角形のお菓子です。小豆には悪魔払いの意味が、三角の形は暑さを払う氷がかたどられているとのこと。氷など庶民には手の届かない高価なものだった頃の、せめて形だけでもといった気持ちが伝わります。
田植えが終わり農作業が一段落した人々の生活の節目となっているのが「夏越しの祓え」といえそうです。私たちもまだまだ、感染リスクを考えた行動をとらなければいけない時です。
季節の変わり目に身の健やかなことに感謝しながら、無事に夏を過ごしていけるよう願ってまいりましょう。