春の虹を見ましたか? 七十二候では虹が出始める時期「虹始見」となります
アリストテレスは言いました「虹は水滴から反射された光だ」
他にもアリストテレスは虹について詳しく説明しています。虹は同時にふたつ以上立つことはないこと。いずれの虹も色は赤・緑・青の3色であり内側の虹が濃く外側の虹は薄いこと、内側の虹は赤が最も外側で緑、青となり、外側の虹では内側から赤、緑、青となること。既に紀元前にここまで客観的な観察がされていたことに驚かされませんか?
「我思う、ゆえに我あり」デカルトも虹を熱心に研究していました
虹の色については『屈折光学』で述べています。色を引き起こすものを粒子の回転速度によると考えました。「赤」と感じるものは最も回転速度が速く、速度が遅くなるに従い色は黄、緑、青へと変化していくと考えたのです。この考えの根拠に多数の面をカットされたガラスに虹に似たものが見られることをあげて、光線がそこに入る入り方がさまざまであること以外に色を引き起こすものはないと考えました。
虹の色については科学的に証明することはまだできなかったのですね。
虹を初めて科学的に解明したのはニュートン! 近代科学の祖です
晴れた日に暗室の壁に1/3インチの小さな穴を開けプリズムを置き、12フィート離れた反対側の壁に白いスクリーンを置きました。穴から入った太陽光(白色光)はプリズムに当たり透過すると分光しスクリーンに細長い光の帯、虹となりました。これによってニュートンはこの虹の色は白色光が分離されたものと考えました。
次に虹色に分離された色の光を収束レンズによって集める実験を行い、すべての色の光を集めるともとの光、白色光となることを明らかにしました。またプリズムを通して得た光の色、例えば赤の色光だけを再びプリズムに通しスクリーンに映すと、赤の色光だけが映りました。このことから分光された色はこれ以上分光しない単体光、ひとつの波長からなる光であることがわかりました。
このようにギリシアからの古典的な考えから抜け出し、光の物理的性質と色の関係を科学的な実験で「光」とは何かを明らかにしたのはニュートンなのです。
虹といえば七色! と思っているあなたへ、見え方はそれぞれ違うようです
虹を七色としたのはニュートンです。最初ニュートンは虹を赤、黄、緑、青、紫の5色としていましたが、音階の理論と無理に結びつけて7色とするために橙と藍を挿入したとされています。その背景にはニュートンが密かにキリスト教の歴史や錬金術の研究をして神秘主義に傾倒していたことが考えられるそうです。近代科学の祖としての大発見と神秘主義、相反するようですがこのふたつがあることがニュートンの魅力なのかも知れません。
科学的に解明されても虹には不思議な魅力がありますね。それは大空に鮮やかな色で雄大にかかるからでしょうか。始まりも果ても見えずぼんやり見とれているとあっという間に消えてしまいますが、消えてしまったあとも虹に出会った喜びは心に残ります。この春始めてみる虹を「初虹」というそうです。雨も多くなるころ、そろそろ出会えるかもしれませんよ。
参考:『虹の文化史』杉山久仁彦 河出書房新社