9月6日は、「黒」の日です、映画で「黒」を楽しみませんか
トマス・ハリス原作、「ブラック・サンデー」
空に浮かぶ飛行船に爆弾を仕掛けるという発想に観客はハラハラドキドキ
ベトナム帰還兵が、復讐の為、飛行船に仕掛けた爆弾を、アメリカンフットボール最大のイベント・スーパーボールで満員の試合会場の上空で爆発させようと企むアクションサスペンス、1977年製作の作品です。実際に満員にしたスタジアムでロケを行った緊迫感あふれる撮影など見所いっぱいの大作です。主演は「ジョーズ」でワイルドなサメ退治人を演じたロバート・ショウ。イスラエルの諜報機関・モサドも絡んだスリリングな物語が展開されます。アクション映画ファンの方ならご存知の方も多いと思いますが、意外と、知る人ぞ知る存在の作品です。
それは、これだけの大作でありながら、当時日本では劇場公開されなかったからかもしれません。実は日本公開直前、上映を阻止する脅迫状が映画会社に届いたことから、公開を断念し、当時、幻の日本劇場未公開作品となってしまったそう。
しかし、近年になり、この作品の価値が掘り起こされ、制作から幾年を経て、劇場でリバイバル公開されたり、TSUTAYAの人気コーナー「発掘良品」に選ばれたり、徐々に人気が広がった珍しいタイプの作品のようです。
もし普通に当時公開され、日本でヒットしていたら、1991年日本公開の「羊たちの沈黙」の宣伝ポスターに、「あのブラック・サンデーのトマス・ハリス原作!」の文字が躍っていたかもしれませんね。
筆者も以前、DVDで観賞しましたが、サスペンスやアクション映画の巨匠ジョン・フランケンハイマー監督ならではの無駄のない骨太な演出が冴える大人のアクション映画でした。もちろん飛行船とスーパーボール試合会場のクライマックスシーンはスリリングで手に汗握り緊迫感たっぷり、最大の見所です。ちなみに撮影監督は、後に「スピード」を監督したヤン・デ・ボンです。隠れた名作と言われる所以がわかったような気がします。
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黒鳥と白鳥の対比が物語のテーマになっている「ブラック・スワン」
2010年製作、「ブラック・スワン」も印象深い作品です。チャイコフスキー作曲のバレエ作品「白鳥の湖」をモチーフにしたスリラー作品です。監督のダーレン・アロノフスキーが日本アニメのファンということで、随所に日本アニメ作品を参考にしたシーンが盛り込まれている⁉︎、とも話題になりました。プリマドンナ役を演じる為、鬼コーチから大人の女になれと無理難題を命じられる堅物のヒロイン役のナタリー・ポートマンは、実生活でも優等生役からの脱却をはかりたがっていたり、プリマドンナ役をとって代わられるバレエ団の元女王役のウィノナ・ライダーも、実生活では90年代のアイドルスターからゴシップ女優に転落、復活を望んでいたり…主要キャストが、ぴったりはまり役を演じているのも見所の一つです。この迫真の演技でナタリー・ポートマンは見事アカデミー賞主演女優賞を獲得しました。昭和の少女マンガのような女同士のドロドロとした物語を、時にはホラーに、時にはコミカルに描いた魅力的な作品です。ラストシーンも物議を醸し話題を呼びました。
タイトルに「ブラック」と入った様々なジャンルの傑作映画。「ブラック」がタイトルに入った映画は、やはり黒という色の持つ陰や暗さ…犯罪や苦悩など人間の裏面を描いた作品が多いのかもしれません。スカッと痛快!という訳にはいきませんが、じっくり腰を据えて観る…秋の夜長の映画観賞にはぴったりですね。ぜひ秋の入口「黒の日」に、楽しんでみませんか。