埼玉県八潮市で2025年1月28日、道路が陥没する事故がありました。原因とみられる「老朽化」の検査は行われていますが、今回の現場では“5年以内に再調査”となるB判定でした。
■名古屋では年間150件ほど発生…進む「老朽化」
今回の事故の原因ですが、地中を走る大きな下水道管がなんらかの理由で破損し、上から地下水や土砂が流れ込んだ結果、空洞化して陥没が起きたとみられています。
名古屋市内で起きた下水道管が原因の道路陥没の件数は、2021年度が170件、2022年度が125件、2023年度が147件となっています。道路が5センチほど陥没したという小規模のものも含めていますが、年間150件ほどとなっています。
原因は「下水道管の老朽化」です。名古屋市内の下水道は、総延長が7900キロもあります。そのうち耐用年数といわれる50年を過ぎているのが、4分の1にあたるおよそ2000キロもまだ残っています。
今回の埼玉県の事故は、直径5メートル近くある大きな下水道管で起きましたが、下水道管の多くは直径40センチ以下のものです。50年を過ぎているのは、その多くが陶器やコンクリート製だということです。
名古屋市では、歪みや腐食に強い「塩化ビニル」製のものに取り替えていますが、1年間に取り替えられる距離は45キロほどです。
■埼玉の事故では「B」…下水道管はどうやって点検しているのか
下水道管は、内側から「骨材」、さらに外側に「鉄筋」に覆われています。
チェックでは、傷が深く鉄筋が見えてしまっている場合は「A」判定で“早期に再調査”。内側の骨材まで来ていると「B」判定で“5年以内に再調査”。表面が変色していると「C」判定となります。
埼玉の事故現場では、2022年の調査で「B」判定でした。同様の調査は名古屋市でも行っていて、Aが全体の「0.5%」ほど、Bが「2〜3%」でした。
数字だけみると少ないようにみえますが、埼玉県の事故が緊急対策が必要なAではなくて、「B判定」で起きていますもんね。
今回の事故を受けて、政府は自治体に対して緊急点検を要請していますが、地盤工学が専門の芝浦工業大学の稲積真哉教授は、「これまでの調査基準にのっとった調査では意味がない。基準の見直しが必要かもしれない」と話しています。
(東海テレビ)