本日より如月・2月。寒さの中に、春を継げんと咲く梅の花
キサラギ、如月、更衣着の語源、由来は…
しかし如月は、何とはなしに品格のある名称で、一年で最も寒く、最も短いこの2月の異称としてはこれ以上ふさわしい名もない気がするような。
願はくは 花の下にて 春死なん その如月の 望月のころ
と詠んだのは、西行ですが、西行が没した2月15日は西行忌。「如月の望月のころ」とは2月の満月の日をさすので15日。現在の太陽暦では3月末にあたることから、西行が愛する桜が満開の折りでもあり、釈迦入滅の日でもあるのだとかとか。西行は願いを叶えて、この日に亡くなったということです。
節分、立春、バレンタインデー、如月の行事・歳時記
福は内、鬼は外と、豆まきをする風習は中国から伝わり、宮中行事の一つであったそうで、毎年の大晦日の鬼を追い払うために行われていました。豆まきの後、年の数だけ豆をいただくのは、年取りの行事だった名残なのでしょうか。年々取りたくないなと思う年も、またいやおうなく、取ってしまうという訳です。
ほかバレンタインデーや初午、札幌の雪祭り、秋田県横手市のかまくら、そして全国各地での梅祭りが始まり出すと、2月もあっという間に過ぎ去っていきそうですね。
如月の別名の一つには、「梅見月」も。梅の花を愛でるころ
御園生の 百木の梅の 散る花し 天に飛び上がり 雪と降りけむ
この大伴書持(ふみもち)の歌は、父・旅人が
我が園に 梅の花散る ひさかたの 天より雪の 流れ来るかも
に追和した歌で、梅の花が散り、雪となって降るといった夢のように美しい幻のような情景を歌ったものでしょうか。万葉集には、このほかにも実に多くの梅の花の歌がおさめられています。
雪の上に 照れる月夜に 梅の花 折りて送らむ はしき子もがも
これは、大伴家持による一首。雪と月と花が一首に組み合わされた、和歌で最初のものとされています。雪月花はもともと漢語で、琴詩酒と並び風雅な題材とされていたもの。日本において雪月花の見立てや取り合わせで歌を詠むようになるのが確立するのは、平安の中期ころ。この家持の歌は、その最たる先駆けだったのだそうです。
※参考
萬葉集(伊藤博/集英社文庫)、現代こよみ読み解き事典(柏書房)