旬を迎え寒さとともに甘さをます野菜、日本人が大好きな「大根」がおいしい季節です!
はっぱもおいしいよ
2000年以上昔に日本へやってきた「大根」。いにしえの歌に詠まれた呼び名は“おほ(お)ね”
漬物になる前に干されます
そんな大根の歴史をひもとくと、「大根」が生まれ故郷の地中海沿岸からはるばるシルクロードをわたり日本へ伝わったのは、約2000年前のことだとか。大根が登場する最古の文献は、千数百年前のもの。古事記や日本書紀に出てくる仁徳天皇の歌に“おほ(お)ね”という言葉があり、「大根」は古代では「大きい根=おほ(お)ね」と呼ばれていたことがわかります。
その後、漢字の「大根」をあてはめられ、発音も次第に“だいこん”となっていったのでしょうか。
江戸時代の大根は味自慢の個性派揃い!今に残る江戸東京野菜「練馬大根」、「亀戸大根」、「大蔵大根」
小ぶりでかわいい亀戸大根
五代将軍綱吉が、練馬村で脚気療養中につくらせた大根が、「練馬大根」のはじまりと言われています。関東ローム層の土に良く合い、自然交雑を重ね、実にいろいろな練馬系大根が誕生したとか。ちょうどその頃、かの沢庵和尚が“たくあん漬け”を考案。練馬大根は漬物用の大根として、江戸~昭和のはじめまで大きな発展を遂げたのです。今でも「練馬」と聞けば「大根」をすぐ思い浮かべるのは、こんな歴史があるからなんですね。
また、“おかめ大根”とか、“お多福大根”とか、愛らしい名前で呼ばれていたのが、根の長さ25~30センチ、直径も3~6センチと小ぶりな「亀戸大根」。これは、初物好きの江戸っ子が、春先に葉と根を一緒に浅漬けにして食べていたものなのだそうです。
ほかにも、秋つまりという練馬大根の改良種が、東京・世田谷の大蔵原(今の東京農大周辺)で広まった「大蔵大根」という品種もあります。今では青首大根の台頭によりすっかり見かけなくなりましたが、世田谷区では“まぼろしの大根”といって栽培を再開しています。大根本来のほろ苦さが残る味わいは格別。さらに、味がしみやすく荷崩れもしないことから、煮物に抜群とされ密かな人気となっています。
ビタミン&ミネラルの宝庫「大根の葉」は捨てないで!存分に活用しましょう
世田谷野菜・大蔵大根
先述の「大蔵大根」もその一つですが、世田谷のJAで見ると大きさもバラバラ、長さもバラバラですが、だいたい40~50センチ、直径6~8センチ位の円筒形。葉の部分もボリュームたっぷりで、真っ白な根もさることながら、青々とした「葉っぱ」がおいしいのが特徴です。
実は、βカロテン・ビタミンC・ビタミンK、葉酸といったビタミンや、カルシウム、カリウムなどのミネラルを含む「大根の葉」は、『緑黄色野菜』に分類されるほど栄養価抜群。なんとカルシウム量は小松菜に匹敵するほどで、ほうれん草と比較するとビタミンCも鉄分もカルシウムもかなり多く含んでいるそうです。
胃腸の働きを整え、便秘や冷えの解消など健康や美肌に効果があるというので、この冬はぜひ葉っぱつきで購入したいですね。
葉付きで入手した場合は、すぐに根と葉を切り分けることをおすすめ(付いたままだと栄養がどんどん葉っぱに持っていかれちゃうんです)。
さっとジャコや胡麻と炒めたり、生でサラダにしたり、浅漬けやナムルにしたり、おみそ汁の具にしたり、干して入浴材にしたりと葉っぱの調理法&用途は様々。さっと茹でたり、干した後に冷凍すれば、日もちもします。
あつあつ、ほっこり、じんわりおいしい冬の味
寒い季節に甘さとみずみずしさを増す「大根」。ぜひこの冬は、旬を迎えたそのおいしさを、葉っぱごと存分に満喫したいものですね。
※参照&引用
江戸・東京ゆかりの野菜と花(JA東京中央会)