自分の星座は誕生日に見られないって、ご存じでしたか?
星座は全部で88個!どんな星座があるの?
西洋の星座は、古代メソポタミア(現在のイラク付近)で考えられ世界に広まった、といわれています。古代エジプトでは、農業に欠かせないナイル川の氾濫時期を星で知り、独自の星座も作られていたそうです。古代ギリシャでは、神話と結びついてたくさんの星座が空にあげられました。ロマンあふれる星座物語は、ここからはじまったのですね! また、2世紀には天文学者プトレマイオスが、当時の星座を48個に大整理。なんと1500年もの間変わることなく世界に伝えられ、現在もそのほとんどの星座が用いられています。
近世になると、新しい星座がつぎつぎと追加されていきました。なぜなら、望遠鏡などの発明により「今まで暗くて見えなかったけど、この方角にもイイ星あった!」と気づいたり、大航海時代がやってきたりしたから…。船乗りたちは、南半球で初めて出会う星々に名前をつけ、その輝きを頼りに旅をしたのですね。こうして天文学界では新しい星座作りが流行しました。ところが、あまりに盛んに星座が作られたため、いつしか夜空は混乱状態に。区画整理が必要となり、1930年の国際天文学連合で88個の星座が制定される運びとなったのです。ちなみに、各星座は「範囲(境界線)」が決められているだけで、正式な「つなぎかた」や「構図」などは決められていないそうです。
88個のなかには、星占いでおなじみの12星座やギリシャ神話に登場する神々をはじめ、大航海時代を思わせる「羅針盤」「六分儀(ろくぶんぎ)」、南半球の香りがする「南十字」や「カメレオン」「かじき」、当時の最新機器「顕微鏡」「時計」「ポンプ」など個性さまざま! 一覧表を眺めていると、星を名付けた人の興奮が時を越えて伝わってくるようですね。
※星座名の一覧はこちら(国立天文台HP)
誕生日には星座が見られない!? その理由とは
じつは誕生日の夜には、星座は太陽と一緒に沈んでいたのです。太陽は1年かけて星空の中を通り、また同じ位置に戻ってきます。その通り道(黄道)に位置する星を結んで作られたのが「黄道12星座」。誕生日の星座とは、「自分が生まれた日に太陽が輝く星座」という意味です。ということは…夜空で見たいと思っても、太陽の方角にいるから見ることができない!のですね。自分の星座は、だいたい誕生日から4ヵ月くらい前が見頃となるようです。おとめ座なら春。誕生日の夜空で見られないのは残念ですが、「今頃お日様とともにいるんだなあ」と思えば、なんだか誇らしい気分にも?
ところがところが。いま太陽のおそばにいるのは、おとめ座ではないらしいのです…。
星座は季節の移り変わりや種まき・刈り入れ時季の目印に使われてきましたが、それと同時に、天の星や惑星が国の運命を握っているとも信じられていました。占星術がおこなわれるようになった約2千年前と比べて、地球の回転軸の向きはだんだん変化しています。その結果、なんと現在では自分の誕生日に輝くのは「1つ前の星座」だというのです。隣り合わせの星座って、性格イメージが真逆なこともしばしばですよね…自分が「繊細で几帳面な乙女」だと思って生きてきたのに、実際の星では「勇猛大胆な獅子」だったとは!? …そんなふうに、占い的にはちょっと複雑な状況になっています。
ただ、占星術には黄道を30度ずつ12等分した「黄道12宮」という区分が使われています(本来の星座を区分にすると大きさが違ってしまうため)。現在の星占いは、実際の星空にある星座の動きではなく「星座宮」を使って計算しているのだそうです。な、なるほど…星占いの星座と、実際に夜空で輝いている星座は別物、といえるのかもしれませんね。とはいえ、「自分が生まれたときに太陽が輝いていた」という星の存在って、特別に愛おしく思えてしまいませんか?
※「黄道12宮」の詳細はこちら(国立天文台HP)
王族が勢ぞろい!秋の夜空を見上げてみよう
<参考サイト・文献>
国立天文台HP
『星座の見つけ方と神話がわかる 星空図鑑』永田美絵(成美堂出版)
『星を楽しむ 星座の見つけかた』大野裕明・榎本 司(誠文堂新光社)