真っ白な「鏡餅」は、新年が宿る場所♪ いまから飾ってもOKなんです
正月を待ちわびる真っ白な鏡です♪
「もち」という名の満ち足りた食べ物
現代ではお正月アートのひとつですね
「もち」という呼び名は「もちいひ」の下略とされ、その意味には「望(もち)の日」つまり満月の日に供えるもの・鏡餅の形が「望月(満月)」に似ているもの・「タモチ(保ち)」保存するもの、などの説があります。どれも満ち足りた豊かなイメージですね。
鏡は人の姿(魂)を映す神聖な祭祀用具でした。白くま〜るい形のおもちは「神の魂」と考えられ、それを鏡に見立てた『鏡餅』は正月の特別な飾り物。 おもちをつくのは神聖な行為なので、臼や蒸籠には注連縄(しめなわ)が張られ、塩で清められた藁を敷いておこなわれてきました。
鏡餅には、子孫繁栄を祈る意味をもつ 譲り葉や橙(だいだい)、長寿や幸福の意味をもつ昆布や海老などが添えられます。ちなみに、小さい丸餅を 年神様の魂『年霊(としだま)』として配ったのが、お年玉の始まりといわれています。
江戸の長屋では「トイレの配当」に?!
やっぱり腰にきますからね
<その1>雇い人につかせる。これは雇用している人がいないと無理なので、上級武士・豪商・豪農・大きな寺社ならではのセレブな方法ですね。
<その2>自分の家の前で職人についてもらう。餅米だけ用意しておくと、餅つき職人(←12月限定。ふだんは別の仕事をしています)が、米を炊く釜や餅をつく臼・杵などを持ってきて家の前の街頭でついてくれます。『ひきずり餅』と呼ばれ、比較的裕福な商人がおこなう一種のデモンストレーションでもありました。
<その3>菓子屋で買う。『賃(ちん)餅』といい、一般庶民はこの方法で確保しました。
<その4>「年の市」で買い求める。浅草寺などの年末市で、注連飾り(しめかざり)・料理用具・羽子板などの正月用品とともに売られていたようです。
引きずり餅や賃餅は予約が必要で、15日くらいには受付終了されてしまったそうです。12月半ばから大晦日の夜明けまで、江戸には杵の音が絶えることがなかったといいます。
そして、長屋の住人には大家さんが 小さなおもちを配っていました。なんのご祝儀かというと・・・長屋のトイレは共同便所だったのですが、その排泄物は良い肥料として近郊の農民が買っていったのです。その代金はすべて大家さんのもとに入ったので、その「配当」がわりだったのですね。
迎えようというお客さまは、年神様でした
もういくつ寝ると!(汗)
鏡餅は年神様が宿る場所といわれ、床の間や神棚などに供えられます。あの形は昔の銅鏡が丸形だったことに由来し、大小2段に重ねるのは「月」と「太陽」を表すのだそうです。
おうちに飾るときは、大掃除で家を清めてから、床の間またはリビングにメインの鏡餅を、神棚・台所・各部屋などに小さめのものを置くとよいといわれます。今は、思い立ったら予約なしでいろんなサイズのものが入手できて便利ですね。
2015年もあと3日! この「数え日」を、新年の歓迎準備でワクワク過ごせますように。
ヒツジさる
『おうち歳時記』三浦康子・監修(朝日新聞出版)
『おりおりに和暦のあるくらし』旧暦くらし研究会(角川書店)
『浮世絵に見る江戸の歳時記』佐藤要人・監修(河出書房新社)
『浮世絵で読む、江戸の四季とならわし』赤坂治績(NHK出版)