テクノロジー革新により“難しさ”を払拭した「スキー」
軽くて気持ちよくターンができるスキーが増加中!

ゲレンデを綺麗にカービングしたりずらしたりしながら楽しめるオールラウンドモデル
そして、形状の進化。この10年の間で、とくにエポックメイキングだった構造が「ロッカーシステム」です。これは、スキーのトップとテールが適度に反り上がった形状のもので、スキーの操作性を格段に向上させつつ、ターン時の安定感も引き出します。
もともとは、ゲレンデではない自然のままの雪山を滑るためのスキーに考案されたシステムですが、これが、ゲレンデを楽しむスキーにも効果があるとわかり、いくつかのスキーメーカーが、ゲレンデモデルにもロッカーシステムの進化形とも言える構造を採用し現在に至ります。
軽くて扱いやすいスキーが急増している!
それが、いまのスキーです。初めてスキーをする人でも、改めてスキーを楽しみたいという人でも、ストレスなくスキーを楽しむことができる、これがスキーの最新事情というわけです。

ゲレンデから雪山のパウダースノーまで、気持ちよく滑ることができるオールマウンテンモデル
安全&おしゃれを意識するなら欠かせないヘルメット

ゲレンデスキーでもヘルメット着用が当たり前の時代に突入。安全でいて暖かいからシーズンを追うごとに着用率がアップ
ゲレンデスキーの最中でも、思いがけない転倒や他のスキーヤーとの衝突など、危険なシーンがまったくないわけではありません。そうした時に、ヘルメットのあるなしが、大きな事故になるかならないかを左右する場面も少なくないのです。
「でも、ヘルメットって白か黒しかなくてカッコ悪い」という人がいるかもしれません。ご安心ください。現在は、さまざまなカラーリングを施したヘルメットが多く、多くのブランドがデザインやカラーリングを相当意識して作り込んでいます。作る側も、「自分たちが被る時にカッコ悪いものは作りたくない!」という思いがあるのでしょう。いろいろなデザインやカラーがありすぎて迷うほどです。その分、ウエアとのコーディネイトはだいぶ容易になっていると思います。
そして、何よりもヘルメットを被っていると暖かいというのも、着用率が高まっている大きな理由です。ニット帽も暖かいですが、ヘルメットを被っている方が断然暖かいです。そして、被り心地が気になる時はニット帽を被ってからヘルメットを着用したほうが調子がいい時があります。これだと、温かさも倍増です。実際に購入する時は、ニット帽も持参したほうがいいでしょう。
レンタルスキーの質の向上で、手ぶらでもスキーが楽しい

スキーブランドサロモンとアトミックがコラボで展開する「サロモン&アトミック スキー、スノーボードレンタルステーション」
いまでもそういったところがないとは言い切れませんが、最近は、メーカーが直々にレンタルステーションを運営する形態が増えています。ですので、そうしたレンタルステーションでレンタルする場合は、コンディションが悪いスキーというのはかなり少なくなったのではないでしょうか。
また、メーカー系のレンタルステーションでは、プレミアムレンタルといった形態で、上級モデルがレンタルできるようになったり、あるいは来期モデルがレンタルできるといった場合もあります。以前のように、「レンタル=中級モデル以下でデザインもいまひとつ」ということが少なくなり、レンタルスキーでも十分に楽しくスキーが滑れるといった環境が整っています。
スキーだけでなく、ブーツやウエアの上級モデルがレンタルできる場合もあるので、「手ぶらで行きたな」という場合は、webなどで検索してみるのもいいでしょう。

ハイグレードなレンタルスキーも用意していあるのが、メーカー系レンタルの特徴のひとつ

当然ウエアをはじめ、ブーツのレンタルも用意されている
ゲレンデ内パウダースキーが外せないコンテンツに

世界のスキーヤーが憧れるパウダースノーが、日本ではゲレンデ内でも堪能できる photo by Hiroya NAKATA
パウダースノーは、日常では体験できない浮遊感を楽しむことができます。圧雪車でしっかり踏み固められたバーンを滑るのとはまったく違った感覚をスキーヤーに与えてくれるのです。この感覚にハマる人が急増中です!
話は少しそれますが、近年、海外から多くの外国人がスキーを楽しむために来日します。それはなぜか? その多くが、日本に降り積もる「パウダースノー」を楽しむためです。
日本人の多くは、「ヨーロッパや北米、南半球は山が高く、たくさん雪が降るのでは?」と思いがちです。しかし実際には、ヨーロッパはスキーができる場所の大半は氷河です。そして、日本のように毎日雪が降り積もることがありません。ガチガチの雪を滑ることのほうが多いヨーロッパ人にとって、日本のように1月・2月の大雪は信じられないことなのです。また、南半球も大雪が続くことはありませんし、雪質も日本ほど乾燥していません。
日本は、地形的に世界にも稀に見る極上のパウダースノーが降り積もる場所なのです。それも、通常のゲレンデで。この好条件をいかしたコース設定が、ここ数年のゲレンデのトレンドになっています。

photo by Hiroya NAKATA
ざっと、ここ数年のスキーの傾向を書いてみましたがいかがでしょうか。何はともあれ、格段に楽しみやすくなったスキーを体験しにゲレンデに出かけてみましょう!

見方勉
岩手県出身 東京都在住
実業之日本社が発行する「ブルーガイドスキー」「大人のスキー」「POWDERSKI」の編集長を務める。雪国に育ちながら、スキーを本格的にはじめたのは高校を卒業してから。パウダースノーも好きだが、しっかり整備されたグルームバーンでレールターンをするのも好き。今期の目標は、3回はファミリースキーに行くこと。