「ヴァルプルギスの夜」は何の日?ヨーロッパの風習を学ぼう
ヴァルプルギスの夜は春を祝うヨーロッパのお祭り
このヴァルプルギスの夜は春を祝うだけでなく、ヨーロッパに古くから伝わる風習とあわせて、ドイツなどでは盛大なお祭りを行う1日となっています。そこで、今回は日本ではまだあまり馴染みのないヴァルプルギスの夜についてご紹介していきます。
ヴァルプルギスの夜には魔女が集まる
ヴァルプルギスの夜にはヨーロッパのあちこちでかがり火が焚かれます
その5月1日の前夜に魔女の集会が開催されると信じられていて、4月30日の日没から5月1日未明までをヴァルプルギスの夜と呼んでいます。ヴァルプルギスの夜には死者の魂が人間の周りを彷徨うとされ、それを追い払うためにヨーロッパ各地でかがり火が焚かれます。
2019年に映画「小さい魔女とワルプルギスの夜」が上映され、魔女や魔法少女が登場するアニメですが、名前だけは聞き覚えがある人もいるかもしれません。
ヴァルプルギスの夜として有名なのがドイツのお祭りです。ドイツでは魔女がヴァルプルギスの夜にブロッケン山に集まってお祭りをすると伝えられています。このため、ドイツのハルツ地方では毎年4月30日にヴァルプルギス祭りが開催され、魔女の仮装をした人たちがSL列車を使ってブロッケン山に向い、パレードやコンサートを楽しみます。
【参考】
ドイツニュースダイジェスト「年に一度の魔女祭り - ヴァルプルギスの夜」
映画「小さい魔女とワルプルギスの夜」
なぜ「ヴァルプルギスの夜」と呼ぶのか
ヴァルプルギスはキリスト教の聖人である聖ワルプルガに由来します
ヴァルプルギスの由来になったのは、キリスト教の聖人である聖ワルプルガ(Saint Walpurga)です。聖ワルプルガはイギリスからドイツにやって来た宣教師で、ドイツに尼僧院を建てキリスト教の布教につとめました。
彼女の功績が認められ死後に聖人となるのですが、その聖人になった日もしくは、聖遺物がローマ帝国の教区であったアイヒシュテットに運ばれた日が5月1日だったと言われています。そこで聖ワルプルガとヴァルプルギスの夜が繋がるのですが、なぜ魔女の集会の名称に聖ワルプルガの名前が使われているのかよくわかっていません。
この「よくわからない」というところが謎めいていて、ヴァルプルギスの夜をより神秘的なものにしているのかもしれませんね。
ゲーテの戯曲「ファウスト」でヴァルプルギスの夜の世界観に浸ろう
ヴァルプルギスの夜を有名にしたゲーテの戯曲「ファウスト」を読んでみませんか
ファウストは実在したとされる錬金術師ドクトル・ファウストゥスをモデルにした作品で、悪魔と契約したファウストの物語が描かれています。もちろん日本語訳されたものがあり、電子書籍でも販売されていますので本屋に行かなくても購入できます。
戯曲は小説と違って演劇の台本のように書かれているため馴染みがなく、すべて読むのにはかなり根気がいるかもしれません。手にしたことはあるけど途中で挫折したという人もいるかもしれません。でも、家で過ごす時間が長くなった今だからこそ読んでもらいたい1冊です。
窓際で暖かな春の空気を感じつつ、ゆっくり時間をかけてファウストに描かれているヴァルプルギスの夜の世界観を楽しんでみてはいかがでしょう。