金子みすず「星とたんぽぽ」から~春の花・たんぽぽを愛でる
草萌(くさもえ)という季語があるように、たんぽぽなどの草花が色鮮やかに土を彩ります。桜前線を待つ間、小さな花を愛でてみませんか?
地に咲き、風に吹かれる花は詩になり…
そんな花を、金子みすゞさんは詩・「星とたんぽぽ」で次のように綴られています。
『…春のくるまでかくれてる、つよいその根は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。』*1
見えぬけれどある…土の中に眠るたんぽぽを表わした言葉ですが、これはすべての人の日常とも重なりますね。省略した前半では「昼の星」を同じように見えぬけれどもある、と表現されています。
また、英名『ダンデライオン』のタイトルで、松任谷由美さんも、ささやかで強い優しさに溢れる楽曲*2 を作られ、根強い人気を得ています。たんぽぽと言う花は、地味だけれど詩人の心に問いかける何かを持っているようです。
春になると、場所を問わず姿を見せてくれて、気が付くと綿毛になって風に吹かれ、その綿毛が種を運び、辿りついた先が次に咲く場所になる…人生(花生?)を感じます。
*1 『金子みすゞ全集』(JULA出版局) 参考サイト参照
*2 ダンデライオン~遅咲きのタンポポ 「日本の恋とユーミンと」収録
花言葉と色彩の不思議なつながり
三月は歳時記では「仲春(ちゅうしゅん)」と言い、春半ばを指します。空には雲がたなびき、陽射しはきらめく季節です。地に花を、空に星を…見えない時も感じる心を持ちたいですね。
たんぽぽで一句
【ほらここに蒲公英光る昼日向(ほらここにたんぽぽひかるひるひなた)】 柊花
《参考文献・サイト》
俳句歳時記 角川学芸出版
金子みすゞ記念館HP
色彩とイメージの情報サイト