赤い実をつける「イチイ」。北海道では「オンコ」とよぶ
秋に赤い実をつける「イチイ」。庭木や公園でよく見かける
葉は濃い緑色で、一つひとつの葉は平たく、先がややとがっていますが、松のように指に刺さるほど固くはありません。
秋になると赤い実をつけます。実の直径は7~8mmほどで、木いっぱいに散らばるように実がつきます。子どものころ、この赤い実を摘み取って食べたことがある、という方も多いのではないでしょうか。
※イチイの赤い実はかつては民間薬としても利用されていましたが、中の種(ほか)にタキシンという毒が含まれているので、絶対に種を噛んだり飲みこんだりしてはいけません。
北海道では「オンコ」とよぶ。札幌と小樽には黄色い実をつける品種も
秋に赤い実をつけるオンコですが、中には黄色い実をつけるオンコがあります。これは「キミノオンコ」とよばれ、北海道の札幌と小樽に生息する珍しい品種です。北海道で作成している植物のレッドリストには、キミノオンコは希少種とされています。
仁徳天皇から正一位という位を得た木。だから「イチイ」という名に
笏とは、官位者などが束帯を着用したときに右手に持つ細長い棒状の板で、聖徳太子や、アニメのおじゃる丸が手に持っている、あの板です。
イチイの木は年輪の幅が狭く、緻密で狂いが生じにくく、また、艶と光沢があって美しいという特徴があるので、仁徳天皇に献上した笏も、見事な出来栄えだったのかもしれませんね。
参考
林産試験場:イチイ
北海道:北海道と道内各市町村の木と花をご紹介します
北海道:レッドリスト(植物)
第62回日本木材学会大会:北海道大学構内の樹木
北海道Likers:これ、なんていう? 北海道の公園で見かける「赤い実」の呼び名は…
森と水の郷あきた あきた森づくり活動サポートセンター総合情報サイト:樹木シリーズ176 イチイ
養命酒製造:生薬百選81 イチイ