豆まきでまくのは大豆? 殻つき落花生? 北海道の定番、“ドライな” うぐいす豆 って !?
「魔の目」(魔目=まめ) に 「豆」 (まめ) を投げて 「魔を滅する」(魔滅=まめ)。
豆まきでは、お祓いで清めた、炒った大豆が使われます。大豆は五穀(米・麦・粟・豆・きび)のうちにひとつで、昔から神事にも使われてきました。
鬼は魔物を表します。魔物の目(魔目=まめ)に豆(まめ)を投げて、魔を滅する(魔滅=まめ)、という語呂合わせにもなるので、鬼に豆を投げつけることは、邪気を払い、無病息災を願うことに通じます。つまり、豆まきの豆は大豆であることに重要な意味があるのです。
大豆は炒ったものを使わなければなりません。炒っていないものを外に投げてきちんと拾っておかないと、豆から芽が出てしまい、これこそが縁起が悪いとされているからです。また、大豆を「炒る」ことは「射る」ことにもつながるので、炒った豆を使います。
さらに、東洋医学の「陰陽五行説」では、万物を「木・火・土・金・水」に分けますが、豆や鬼や疫病は「金」にあたります。しかし、「金」に勝つのは「火」なので、豆を「火」で炒って、鬼や疫病に勝つという意味も含まれています。
北海道・東北などでは、殻つき落花生をまき、拾って食べる。落花生で鬼を退治できるのか !?
拾って食べます。
ある調査によると、豆まきで落花生を使う割合が高いのは、北海道、東北、新潟、長野、鹿児島などです。
落花生の栽培が日本で始まったのは明治のはじめです。ということは、豆まきに落花生が使われるようになったのは、明治以降であることに間違いありません。北海道では昭和30年代から、大豆から落花生にかわってきたともいわれています。
北海道や東北、信州のような雪が多い地方では、外にまいた大豆を拾うのは大変です。しかし、殻つき落花生だと拾うのが簡単で、しかも、拾ったものを食べるときには、殻つきのほうが衛生的です。さらに、殻つきだと豆が砕けることがないので、家の中にまいたときも、掃除が楽にすみます。
なぜ雪国では大豆から落花生にとってかわったのか、はっきりした理由はわかりませんが、殻つきの落花生で鬼を退治できるのかどうかには深くこだわらないのが、雪国の合理性(?)なのでしょうか。
年の数だけ豆を食べるとき、殻つき落花生の場合は、2粒入りの1殻で1歳分と数えるのか、殻から中身を出し、1粒を1歳分と数えるのか…。落花生で年の数をどうのように数えるのか、そのあたりも気になるところです。
北海道の 「うぐいす豆」 はドライなタイプ !? 「ボンゴ豆」 という不思議なネーミングの豆も定番。
北海道のドライな「うぐいす豆」。中身はピーナッツ。カリカリ、ポリポリ、とまらない…。
この、ドライなうぐいす豆の中身はピーナッツです。衣は小麦粉と米粉を合わせたもので、これにうぐいす色の天然着色料を加えて焙煎し、その外側をさらに白くコーティングします。直径は1.5cmほど。味は甘く、カリカリ、ポリポリといくつでも食べられます。このドライなうぐいす豆が北海道にしか存在しないことを知っている道民は、たぶん少ないのではないでしょうか。
北海道ではドライなうぐいす豆以外にも、「ボンゴ豆」という不思議なネーミングの豆も定番です。これもベースはピーナッツです。形はうぐいす豆のような丸いタイプではありません。ピーナッツに、衣が不均一についているので、ピーナッツが見えてしまう部分もあるという豆菓子です。衣の材料はもち米など。唐辛子がピリッときいた甘辛味にコーティングされていて、ビールのおつまみにもなりますが、なぜこれを「ボンゴ豆」と呼ぶのかは“謎”です。ちなみに、ボンゴは南米の太鼓ですが、パッケージには「アフリカ生まれ」とあり、そこにつっこみを入れる北海道民は少ないようです。
お菓子もまくのが主流 !? “おひねり” や “あたりくじ” が入っていることも !!
有名人が豆をまくような大きな神社や寺院などでは、“あたりくじ”付きの福豆をまくところも多数あります。その景品は、米や酒などの食料品をはじめ、旅行券、電化製品、さらにはブランドもののバッグがあたる場合もあるそうです。
炒った大豆を鬼に投げつけることに意味があったはずの豆まきですが、最近は殻つき落花生を投げたり、豆以外にもお菓子やおひねり、あたりくじを投げるところも多いようです。また、豆自体も、鬼を追い払うためのグッズというよりは、福を招き入れる「福豆」という意味合いが強いようです。節分には毎年、豆まき以外にもいろいろな行事が行われ、恵方巻き効果もあり、日本国中で、ちょっとしたイベントになっています。有名人が豆をまく大きな神社などは大変混雑しますが、豆を拾えなかった方は、社務所で売られている福豆で、福のおすそ分けをしてもらいましょう。