線路の雪を豪快にかき分ける 「ラッセル車」。今年も出動、線路を守っています !!
先頭に大きなブレードをつけ、雪煙をあげて豪快に雪をかき分ける !!
ただし、大雪のときや、かき分けた雪を寄せておくスペースがなくなってしまった場合には、ラッセル車だけでは除雪が困難になります。そのときはロータリー車で遠くへ雪を飛ばすなどして、線路を保守します。
重厚感たっぷりの古いラッセル車。黒い車体は存在感抜群。まだまだ現役で活躍中 !!
重厚感のある漆黒の車体。でも、“顔”はどことなく愛嬌がある。
現在はJRでは使われていませんが、青森県の弘南鉄道で、キ104とキ157が電気機関車に押され、まだまだ現役でがんばっています。
また、北海道や東北など、全国10カ所ほどの博物館や公園内で、その黒い車体が保存・公開されています。が、ラッセル車はやはり、大切に保存されるよりも、力強く雪をかき分ける「働く姿」が魅力的です。今後も古いタイプのラッセル車が活躍する姿を、いつまでも見ていたいものです。
雪をかき分けつつ、遠くへ吹き飛ばす。「排雪用モーターカー」 は、まるで “ロボット” !!
“ロボット”で深夜のうちに除雪。
もともとモーターカーは線路の保守用に使われる小型の車両ですが、前側に、雪をかき分けるラッセルヘッドと、雪を遠くへ飛ばすロータリーヘッドをつけることにより、除雪にも使用されています。保守用の車両なので線路の上を走りますが、法律上では鉄道車両ではなく、「機械」として扱われます。見た感じも、先頭にいろいろな“装置”を取りつけて複雑な動きをするので、電車の仲間というよりは、“ロボット”っぽい印象です。
最近の除雪は、ラッセル車よりも、この排雪用モーターカーに、とってかわってきています。その理由はいくつかあります。
まず、モーターカーは“メカ”なので、列車を動かす免許がない人でも運転することができます。ラッセル車を出動させるには機関車と機関士を手配しなければなりませんが、その手間がかからないので、保線の部署のスケジュールで除雪することができます。
次に、ラッセル車を押す機関車の老朽化。
そして、冬にしか使わないラッセル車は維持費がかかるほか、機関車の燃料費もばかになりません。費用の面でもモーターカーは重宝がられています。
黒い車体が重みを感じる。蒸気機関車が押す昔のラッセル車は迫力満点 !!
蒸気機関車のころののラッセル車。ダースベーダーのような出で立ちは存在感抜群。
現在は、除雪については、ラッセル車の活躍は縮小傾向で、小回りのきく排雪用モーターカーに、とってかわりつつあります。さらに、JR東日本のENR1000のような、大型で迫力のあるモーターカーも出てきています。
鉄道車両の安全な運行のためには、その線路に合った方法で除雪するのが一番重要なことですが、真っ白な雪原を雪をかいて豪快に進むラッセル車の“勇姿”を、今後も見ていたいと願うのは、わがままというものでしょうか。
雪がほとんど降らない首都圏などでは、雪が降ると、人間がスコップで線路の雪をかくという“人海戦術”に頼っているようです。首都圏に雪が降ると、電車の到着時間は大幅に遅れ、交通網は大混乱してしまいます。一方、雪国では、雪対策はこの冬も万全です。今年の冬は暖冬とはいえ、ここ最近は、普段雪が降らない地方にもドカ雪が降る傾向にあります。そんなとき、雪国のラッセル車を貸してあげられたら…。そんなことを想像しつつも、実際のところは、大雪で市民生活に影響が出ませんように…、と祈るばかりです。