山の残雪が 「馬」 や 「鳥」 に見える 「雪形」。 あなたは何に見える?PR
「口から泡を出しているシロクマ」…というふうに、見えるままに見立ててみよう
昔は雪形で田植えの時期を決めたり、収穫を予想したりしていた
「山の上に黒い雪男が出現!!」
雪形がこの形になったら土を耕す、この形になったら田植えをはじめる、この形になったら豆を撒く…というように、雪形は農作業の目安となっていました。
また、北海道では漁業でも用いられてきました。石狩市の愛冠(あいかっぷ)岬に見られる「馬雪(まゆき)」という雪形は、ニシン漁の終わりを告げる暦として、昔から利用されてきました。
さらに雪形は、暦としてだけではなく、占いの道具としても利用されてきました。毎年同じ位置に出現する雪形が、年によって出現の時期が早かったり遅かったり、形が大きく崩れたりする光景を見て、雪どけの水の量を測ったり、気温の寒暖を体感したりして、農産物の豊作や凶作を占ったりもしていました。
伝統にこだわらず、見たまま・感じたままを楽しむ 「ニュー雪形」
「左を向いて飛ぶ鳥の親子」に見えますか?
しかし、昭和に入ってからは、雪形を農作業の暦として利用する文化が薄れ、見たままを楽しむ「ニュー雪形」が流行してきました。雪形の研究者たちは、これらの新しい雪形と、古来からの伝承にもとづく雪形とを区別しています。
「ニュー雪形」のタイトルを見ると、「からす天狗とドラゴンのにらみ合い」「リーゼント野郎」「うわっ! 転ぶ!」など、ユニークなものがたくさんあります(参考:「雪形フォトコンテスト)。
昔のように、「馬が見えたから、そろそろ土を耕そう」という「農業枠」にとらわれることなく、今では、見たまま、感じたままをタイトルにする「ニュー雪形」が広く楽しまれています。
北海道では雪形の写真コンテストを開催、南信州の写真集もおもしろい
・シーニックフォト倶楽部「雪形フォトコンテスト2015」
⇒ http://photoclub.scenicbyway.jp/snow/
南信州の自然や観光の情報を発信する「ぶらっぷ」では、ホームページの中で雪形の写真集を公開しています。どれもなかなかの力作(?)ぞろいです。
⇒ http://buratto-map.net/yukigata/index.php
今年は道東をはじめ、ドカ雪に悩まされた地域が多い冬でしたが、3月下旬になり、豪雪地帯にもようやく春の足音が聞こえてきました。高い山々の雪どけもそろそろ始まろうとしています。雪で真っ白だった山の岩肌が見えてきたら、今まで使っていなかった脳の部分を駆使して、残雪が何に見えるか見立てて楽しんでみてはいかがでしょうか。
参考:「北海道新聞」3月20日号夕刊