省エネで普及するLEDの信号機、でも、雪国ではLEDだと困るときも…
縦型の信号機 !? 雪国の信号機には雪が積もらない工夫が
それは信号機が縦型であることです。上から赤、黄、青の順に縦に並んでいます。信号のランプが縦に並んでいるのは、雪国以外の人には珍しい光景かもしれませんね。雪国ではおよそ30年ほど前から信号機の縦型化が進んできました。
信号機のランプにはそれぞれ日よけや雪よけなどの理由でひさしがついていますが、ランプが横にならんでいると3つのひさしのそれぞれに雪が積もるので、上の写真のように積もった雪がひとつの塊になって解けにくくなり、さらにランプを覆ってしまうのです。
一方、縦型だと、雪が積もる面積がひさし1つ分と小さいので、積もった雪が大きな塊になることが少なく、また、雪の重みにも耐えられる、ということで、雪国では縦型の信号機が多いのです。
LED信号機の利点は、省エネ、長持ち、よく見える
これら3つの利点によって、2010年ころから信号機のLED化が全国的に普及し、2020年には日本の信号機のほとんどがLED化するといわれています。
LED信号機は放熱しないので、ランプにくっついた雪が解けない…
「積もる」タイプの雪ならば、信号機を縦型にしてランプにひさしをつけることで解決できますが、横から「吹きつける」雪はランプに着雪し、その雪がいつまでも解けない状態が続いてしまいます。そういうときは、警察官がゴムへらのついた長い棒で、ランプについた雪を直接かき落とすという人海戦術に頼っているのが現状です。
しかし、この、ランプにくっついた雪が解けないという弱点を克服すべく、画期的なLED信号機が続々と開発され、すでに各地で実用化されています。
フラット型は真っ平ら、下に20度傾いて着雪を防ぐ。ランプを覆う透明カバーもあります!!
ほかにも、ランプ1つ1つを透明なカバーで覆う「フード型」があります。これは、縦型式のLED信号機に多く見られます。ランプにひさしはなく、その代わり、半球状の透明なカバーでランプ1つ1つを覆うタイプです。この透明カバーの形が独特で、きれいな半球ではなく、上のほうがツンととんがっていて、しいて言えば、ドラクエのスライムのような形です。このとんがった部分があるおかげで、雪が積もることも吹きつけることもないので、ランプが見えなくなることがなくなりました。
放熱しないことが弱点となっていたLED信号機ですが、このように、弱点を克服する開発が急速に進んでいます。雪国では信号機のランプが見えないことはとても危険で命とりとなってしまいます。今後も雪国で車が安全に走行できるよう、雪国対応のLED信号機の進化がのぞまれます。
また、最近では異常気象などで、雪国以外も大雪に見舞われることがたびたびあります。雪が降らない地方のドライバーは、雪が降ったらLED信号機は「雪がくっつきやすい」という特性があることを知っておく必要があるでしょう。さらに行政側には、LED信号機の「弱点」をドライバーに周知してもらう対策を講じることを期待したいものです。