2025年3月の満月「ワームムーン」 名前の由来は? 天体観測のポイントも紹介
3月の満月は、アメリカの農事暦で「ワームムーン」と呼ばれています。ワームムーンは、日本語では主に「芋虫月」と訳されます。「満月と芋虫に一体どんな関係があるの?」と不思議に思う方は多いのではないでしょうか。
この記事では、3月の満月「ワームムーン」について紹介します。ワームムーンという名前の由来や観測できる日時に加え、ほかの月の満月の呼び名や天体観測のポイントも解説します。ぜひ、春の天体観測の参考にしてください。
「ワームムーン」と呼ばれる理由は?意味や名前の由来を解説

アメリカの農事暦では、月ごとの満月にそれぞれ名前がつけられています。ワームムーン以外の満月の名称には、ピンクムーン(シバザクラが咲く時期の4月)、ストロベリームーン(イチゴが実る時期の6月)などがあります。
これらの名称が生まれた背景には、アメリカ先住民が満月に独自の名前をつけることで季節の移り変わりを捉えていた伝統があります。また、それぞれの満月の名称は、その月の満月を含む1か月の呼称にも用いられていたそうです。
ワームムーンという名称は、土壌が温まり始めた3月、冬の休眠から目覚めたさまざまな幼虫が地上に現れることに由来しています。
クマやスカンク、鳥など冬眠から目覚めた動物にとって、幼虫たちは食料源のひとつとなります。また幼虫の排泄物は、土壌を豊かにしてくれます。虫や動物が息をひそめる冬が終わり、活発な生命活動が戻り始めることから、3月の満月がワームムーンと呼ばれるようになったようです。
ワームムーン(芋虫月)という名称だけみればユニークなイメージもありますが、由来を知ると春の訪れによる希望や生命力を感じられますね。
なお、現代の日本で用いられている二十四節気(※1)にも、3月上旬~中旬ごろに「冬ごもりしていた地中の虫がはい出てくる」という意味をもつ「啓蟄(けいちつ)」があります。ワームムーンの由来とよく似ていますね。住む場所は違っても、昔の人々が季節の移り変わりを繊細に感じ取っていた点は共通しているようです。
※1:1年を4つの季節(春夏秋冬)に分け、各季節をさらに6つに分けた24の節目のこと
2025年のワームムーンはいつ見える?満月の日時は予測可能

「月の暦」があることに対し、不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。月の暦が存在するのは、月が平均約29.5日のサイクルで「新月→上弦→満月→下弦→新月」という満ち欠けを繰り返しているためです。このサイクルに当てはめることによって、今後の満月の日時も予測できるというわけです。
月の満ち欠けといっても、もちろん物理的に月が欠けたり大きくなったりするわけではありません。「地球にいる私たちから、月のどの部分が見えているか」によって、満ち欠けが生じます。月と太陽の位置関係の変化にともない、太陽に照らされた月が光って見える部分が変わっていくためです。
月と太陽がほぼ同じ方向にあり、太陽の光が当たっている側が地球から見えないときが新月、太陽と月が180度離れたときが満月です。満月のときの月は太陽と反対方向にあり、明るい側が地球を向いています。月のほぼ全面が光っていて、基本的には丸い月が見えます。
月の満ち欠けのサイクルに当てはめれば、今後の満月の日時も予測可能です。次項では、2025年の満月の日時をまとめて紹介します。
ワームムーン以外の満月名は?2025年の満月日時もチェック

■2025年 各月の満月とその名称
ウルフムーン 1月14日(火) 7:28頃
スノームーン 2月12日(水) 22:54頃
ワームムーン 3月14日(金)15:55頃
ピンクムーン 4月13日(日) 9:23頃
フラワームーン 5月13日(火) 1:56頃
ストロベリームーン 6月11日(水) 16:44頃
バックムーン 7月11日(金) 5:37頃
スタージョンムーン 8月9日(土) 16:56頃
コーンムーン 9月8日(月) 3:09頃
ハンターズムーン 10月7日(火) 12:48頃
ビーバームーン 11月5日(水) 22:20頃
コールドムーン 12月5日(金) 8:15頃
動物や気候、植物など、バリエーション豊富ですね。3月のワームムーンは唯一、虫に関連する名前がつく満月となっています。
ワームムーンを観測できる3月14日は、日本においても春の訪れを実感しやすい時期です。遠い地で暮らす先住民が新たな生命活動の始まりを感じ取ったように、満月を眺めながら希望に満ちた春に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
ワームムーンを観測してみよう!天体観測のポイントを紹介

■方角
満月は、日の入り(太陽が地平線に沈みきって見えなくなった瞬間)のころに東から上り、真夜中には南の空に見えます。
■道具
月は肉眼でも観測可能です。特別な機材は必要ありませんが、双眼鏡や天体望遠鏡があれば、より鮮明に観測できるでしょう。
双眼鏡を使う場合は三脚に固定すると手ぶれがなくなり、快適に観察しやすくなります。望遠鏡で満月を見るとまぶし過ぎるときは、長時間の観察を控えたり、製品オプションのムーンフィルターを併用したりしてください。
■観測ポイント
月面に太陽の光が正面からあたっている満月の場合、望遠鏡を使用しても残念ながらクレーター(※2)の凹凸を鮮明に見ることはできません。一方、ひときわ白く見えるクレーターから、光条と呼ばれる明るい光の筋が広がる様子を観測できます。
※2:隕石が月の表面に高速で衝突してできたもの
■服装
日の入り後の天体観測は、冷え込みを感じることもあります。天気予報を参考に、身体を冷やさない服装で観測しましょう。