10月25日は台湾「光復節」。美麗島・台湾の歴史と今
観光名所 台湾九份夜景
大航海時代から明末清初まで
鄭成功ゆかりの台南の安平古堡
1644年、明が滅亡、清朝が成立します。このとき登場したのが、日本人を母として平戸に生まれた鄭成功(てい・せいこう)。父親は鄭芝龍(てい・しりゅう)で、当時福建省一帯で最も強い勢力を持っていた海商でした。幼くして父親のもとに渡っていた鄭成功は明朝の再興を目指し、1661年オランダ勢力を駆逐。「反清復明」のための基地として台湾統治に着手しますが、志半ばに急死してしまいます。1683年清朝が鄭一族を制圧、台湾は福建省に編入され、大陸からの移住民も急増します。とはいえ清にとって、台湾は長い間「化外の地」でした。
日本統治時代と二・二八事件
台湾 総統府
そして1945年8月15 日、日本が連合国に降伏し、第二次世界大戦が終結します。日本人の引き揚げと共に、アジア各地の台湾人の軍人・兵士の帰還が始まり、同年10月、国民政府軍が上陸。台湾は、国民党が率いる中華民国政府の支配下となります。10月25日には祖国復帰を祝う「慶祝台湾光復大会」が開催され、以降毎年同日が「光復節」として、日本統治の終了を記念する中華民国の記念日と定められました。「光復」とは、失われた国土や主権の回復を意味します。
しかしこの後、大陸から新たに渡って来た人々(外省人)と、台湾の元からの住民(本省人)の間に亀裂が深まり、1947年2月28日、国民党政府と住民の衝突で、多数の住民が犠牲になります。この「二・二八事件」以降、台湾には戒厳令が布告され、政治的弾圧が続く白色テロ時代が続きます。戒厳令が解除されたのは、40年後の1987年。1996年には直接選挙による総統選が実施され、国民党の李登輝が当選。台湾発の民選総統が誕生したのです。
現代台湾文化を発信する「誠品生活」
コレド室町テラス
そして、現代台湾の成熟文化の象徴ともいえる「誠品生活日本橋店」が、先月「コレド室町テラス」にオープンしました。1989年、文化とアートが融合した書店作りを目指し、「誠品書店」を台北に創業した故・呉清友氏。直後に大病を患い、手術によって一命を取り止めます。その後の人生の目的を夢の実現に定めた呉清友氏は、「人文、藝術、創意、生活」の提供を事業理念に掲げ、店舗網を拡大。「誠品生活」の業態はすでに書店の枠を超え、都市文化や芸術工芸、そして気軽な台湾グルメを体感できるカルチャーストアとなっています。
スタイリッシュな空間ですが、「誠品生活」では、台湾のようにゆったりまったりお店を探検できそうです。そして機会があれば、美麗島・台湾の現地で歴史を振り返りつつ、いつの時代も変わらぬ人々の優しさ、あたたかさに触れる時を過ごしたいものです。
【参考文献】
伊藤潔(著)『台湾―四百年の歴史と展望―』(中央公論社)
周婉窈(著)濱島敦俊(監訳)『図説 台湾の歴史』(平凡社)
台湾のスウィーツ 豆花