晦日正月の頃は三寒四温――俳句歳時記を楽しむ
三寒の四温を待てる机かな
冬から春先にかけて、三日ほど寒い日が続くかと思うと、四日ほど暖かい日が続き、これが繰り返されて、春に近づいてゆく。これが三寒四温です。もともとは朝鮮半島や中国東北部にみられる気象現象で、現在では、天気予報や日常の挨拶にも用いられるようになりました。三寒、四温、あるいは四温日和としても、季語に使われます。
・三寒四温ゆゑ人の世の面白し 大橋越央子
・三寒の四温を待てる机かな 石川桂郎
・電柱の四温の影を伸ばしけり 片山由美子
雪深くなりつつ山居日脚伸ぶ
・雪深くなりつつ山居日脚伸ぶ 大橋桜披子
・よきことの一つ日脚の伸びしこと 京極杞陽
・こころまづ動きて日脚伸びにけり 綾部仁喜
・一吹雪春の隣となりにけり 前田普羅
・銀鼠色の夜空も春隣 飯田龍太
・産科とふ名札はたのし春隣 中村汀女
・少年を枝にとまらせ春待つ木 西東三鬼
・時ものを解決するや春を待つ 高浜虚子
困ったこと、悲しいことが起きても、時が物事を解決する。つらい冬を乗り越えつつ春を待つ。自然の摂理とひとびとの精神を重ねた秀句を眺めつつ、節分や立春を迎えることにいたしましょう。
<句の引用と参考文献>
『読んでわかる俳句 日本の歳時記 冬・新年』小学館