冥王星(プルートー)とその衛星の名前の由来とは?
NASA(アメリカ航空宇宙局)のニューホライズンズが冥王星に接近 観測中
人類が冥王星の探査を行うのはこれが初めてで、2006年に打ち上げられてから実に10年近くが経ってようやくたどりつきました。これから約1か月かけて探査を進めます。すべてのデータが地球に届くのは、来年4月ごろです。
冥王星とは、どんな星なの?
冥王星の歴史は比較的新しく1930年2月18日アリゾナのローウェル天文台で、天文学者クライドン・トンボーが、発見しました。
「太陽系9番目の惑星発見」ニュースを、イギリスのオクスフォード在住の祖父から聞いた孫娘ヴェネチア・バーニーは「その惑星の名前はプルートー(PLUTO)がいいわね」と提案しました。
彼女は学校で古代神話を学んでおり、もちろん他の惑星も知っていました。
プルートーは、ローマ神話に登場する死者と冥界、暗黒の領域で神であり、太陽から40億マイルも離れた場所は暗闇の世界そのものであると思えたからです。
その案に大賛成だった祖父は、オクスフォード在住の天文学者のポストにメモをいれ、その天文学者が、アリゾナ州ローウェル天文台の所長のヴェスト・スライファーに伝えました。
発見された新天体を命名する権利は、ローウェル天文台と所長のスライファーにあり、「Pluto」という名前はスライファーによって公式に採用され1930年5月1日に発表されました。
また冥王星の5つの衛星にも、それぞれ冥界にちなんだ名前がつけられています。
①カロン 死者の魂を載せてスティックス川を渡り、あの世に運ぶ船頭の名前
②ヒドラ 巨大な胴体と9つの首を持ち、一本の首を切り落としても、すぐにそこから新しい2本の首が生えてくる怪物
③ニクス ギリシャ神話の夜の女神ニュクスより
④ケルベロス 冥界の番犬
⑤スティクス ギリシア神話で地下を流れ、現世と冥界とを分けるとされる大河、又は、それを神格化した女神
太陽系第9番惑星からの降格
しかし、冥王星が予想されていた、天体よりはるかに小さく軌道が大きく傾いていたことなどから、2006年6月30日国際天文学連合の惑星定義委員会にて天文学者たちが話し合い、賛否両論があるなかで、冥王星を、惑星から準惑星に降格しました。
準惑星とは、太陽を公転し、球体になるのに、十分な質量をもちながら、周辺の他の天体を排除するほど質量が大きくなく、かつ衛星でないものです。
漫画のなかにも冥王星が登場!?
日本のマンガにも武内直子原作、美少女戦士セーラームーン セーラープルート(冥王 せつな)(冥王星を守護星に持つ時空と変革の戦士。時間と空間の狭間(テレビアニメでは時空の回廊)にある冥土の扉「時空の扉」を守って、時を司る神・クロノスの血を引く美しく孤独の番人)や、手塚治虫原作 鉄腕アトム 地上最大のロボットを原作とした浦沢 直樹リブート作品プルートーなどが有名ですね。
実は、冥王星ではなくとも、星をテーマにした漫画はたくさんあります。
これを機会に読んでみられてはいかがでしょうか。
小山 宙哉「宇宙兄弟」
柏原 麻実「宙のまにまに」
幸村 誠「プラネテス」
柳沼 行「ふたつのすぴか」
日渡早紀「星はすばる」
小山田いく「星のローカス」
ニューホライズンズ探査機の目的は、冥王星の地形を詳しく観測すること。
他にはカロンに関するデータ収集も目的としています。
冥王星系はすばらしく魅力的な系と言われていて、今回のニューホライズンズによる探査ではもっと驚くような結果が得られるかもしれません。
どんな情報を集めてくれるのか楽しみですね。
参考 マーカス・チャウンの太陽系図鑑 オライリージャパン
かくして冥王星は降格された ニール・ドグラース・タイソン 早川書房