ドローン×気象 ドローン初心者がみた『最先端』をリポート
人とドローンが共生する未来社会 そのためには
まだ実用化されていないものの、物流(荷物輸送)、災害時の活用など・・・活躍フィールドは拡大中のドローンですが、ドローンが安全に飛行し実用化を加速させるには、乗り越えなくてはならない課題がたくさんあります。(安全なドローン飛行に必要なものについて紹介した過去記事はコチラ)
それらの課題に立ち向かう大規模な実証実験が行われると聞き、tenki.jpチームは現場を取材してまいりました!
世界初!福島で行われたドローン大規模実証実験
日本無人機運行管理コンソーシアム(JUTM)が主催するドローン飛行の大規模実証実験(※)が、先月の第4週目(10月23日から27日)に福島県南相馬市と浪江町で行われました。この実験には運航管理・物流・建設点検・警備など36の企業・団体が参加し、市街地上空を含む同一空域内で、ドローン運行管理(飛行機でいう、管制塔の役割)を行いながらドローン飛行を実施しました。
ドローンが乗り越えなくてはいけない課題のひとつに、『運行管理システム』の開発があります。同一空域内でドローンが複数飛ぶと、衝突の危険があるため、各ドローンがどういう状態にあるのか・どこを飛行しているのかをリアルタイムで把握する必要があり、それを把握して管理するのが『運行管理システム』です。
今回の実験では、各ドローンの飛行予定を事前に立てて申請し、ドローンの離発着場に入場する時点・離陸前後・着陸前後など、ドローンのステータスを逐一、運行管理部門とコミュニケーションを行いながら飛行が実施されました。
なぜ日本気象協会が・・・ドローン?
日本気象協会がドローンポートに設置した気象観測装置(気象センサー)
日本気象協会がドローンポートに設置した気象観測装置(ドップラーライダー)
実証試験では、ドローンによる気象観測だけでなく、気象センサーによる気象観測、ドップラーライダーでの飛行高度の風観測を行いました。実証実験の参加企業・団体に、これらの観測データと日本気象協会の独自気象予測などに提供し、ドローンの安全な飛行に役立ててもらいました。
【ドローン×気象】ドローンでどうやって風を観測するの?
日本気象協会の気象観測ドローンReNA
日本気象協会が所有する気象観測ドローンReNA(Research aerial vehicle for Non-reachable Atmosphere)には、気象センサーを装備しており、飛行時は主に上下に動きながら(高度を変えながら)、高度別の気象観測を行います。同時に、ドップラーライダーを設置して上空の気象観測を行うことで、ReNAの観測結果と比較解析して精度検証を行います。
日本気象協会のドローンパイロットチーム 「TeamReNA」
日本気象協会のドローンパイロットチーム 「TeamReNA」のリーダーである井上パイロットが教えてくれました。屋内で何度も実験した結果、ローターから一定の距離をおいたところに気象センサーを設置すれば、観測結果には影響しないことが分かったそうです。
ちなみにReNAは、空撮ドローンなどに比べるととても大きく、大人の男性が抱きかかえないと持てない大きさです。ドローンは近年様々な種類のものが開発されていて、用途によって使い分けられています。一般に大きくなるほど飛行が安定しているそうです。
いつか、空を見上げると大小様々色とりどりのドローンが安全に飛び交う時代が来るかもしれないですね。
2017年度JUTM福島社会実証 人とドローンが共生する未来社会の実現にむけて
~空域・電波管理を行ってのドローン活用社会と減災計画実証
日時:2017年10月23日~27日
主催:一般財団法人 総合研究奨励会 日本無人機運行管理コンソーシアム(JUTM)
共催:福島県、南相馬市、浪江町
後援:内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省
飛行実証場所:福島県南相馬市~双葉郡浪江町(ロボットテストフィールド予定地付近)
なお、日本気象協会が行った気象情報提供とドローンによる気象観測の実証試験は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業により行ったものです。