知っているようで知らない、“神父”と“牧師”の違い
キリスト教の神父と牧師の違いをご紹介します
2月のイベントと言えば14日のバレンタインデーが思い浮かびますが、そのほかにも年間を通じてイースターやクリスマスなど、キリスト教関連のイベントはたくさんあります。憧れのチャペルで挙式を!という方も多いですし、意外と私たちの生活にキリスト教のイベントは溶け込んでいるようです。
ところで皆さんは、キリスト教の神父と牧師の違いをご存じですか? 意外と知らない方が多いのですが、調べてみるといろいろ違いがありました。
神父と牧師の違いその1/基本的には教派の違いだった!
職名の相違は教派の違いに由来していた
基本的な違いは、教派の違いなのですが、さらには……
●「神父」はカトリック教会、または正教会、東方正教会の聖職者
●「牧師」はプロテスタント教会の聖職者
注意したいのは、牧師は正式な職名でもあるのに対し、神父は尊称です。正しくは司祭といいます。ちなみに牧師を先生と呼ぶこともあります。
神父と牧師の違いその2/立場的にはどんな違いが?
カトリックでは、司祭という役職の尊称が「神父」
例えばカトリック教会の中では教皇、枢機卿、大司教・司教、司祭、助祭の序列があります。神父は呼び名であり、正式な職名は司祭になります。司祭は、司教によって任じられ、司教によって与えられた任務に従事したり、教区の信者の信仰活動に奉仕しています。
一方、牧師は一般の人と立場は対等です。もちろん教会のさまざまな仕事はしますが、それ以外はほかの人と変わりません。牧師の場合は、聖職者というより教職者と考えたほうがわかりやすいかもしれません。
神父トリビア/神父の「神」は、神様の「神」とは違う?
神父という言葉の「神」は、「霊魂」という意味?
神父が「神様の父」という意味にとられないよう、さらには誤解を避けるために「霊父」という言葉もあるのですが、一般的にはあまり定着はしていないようです。
牧師トリビア/牧師は羊飼い?
牧師には羊飼いの意味があります
かつて羊は、牧夫(羊飼い)によって放牧されることが一般的でした。転じて、牧師には「過ちを犯してしまいやすい羊(人々=民)を先導する」といった意味合いがあるようです。「牧(ぼく)する」という言葉もありますが、牧師という文字が「牧」と「師」で成り立っていることからも、その意味がなんとなく類推できますね。
牧師になるためには、聖職に就く者を「按手」によって聖別し、任命する儀式「按手礼(あんしゅれい)」が必要です。ここでいう「按手」とは、祈りとともにその人の頭に手を置き,霊的な力が与えられるようにする儀式のこと。
また以前は、信者の中から牧師を選ぶといったこともありましたが、現在では神学校などで学んで牧師になるのが一般的なようです。
神父と牧師トリビア/結婚はできる? できない?
神父になれるのは独身男性だけ
結論を言ってしまうと、
●牧師は家庭を持つことができる
●カトリック教会の神父は独身でなければならない
神父の場合、神中心の生き方をするために独身でなければならないようですし、神父には「男性である」という条件もあります。女性の場合、独身であっても司祭(神父)にはなれないのです。この点については、2016年にローマ法王が、カトリック教会で司祭に次ぐ職位である助祭に女性を登用する「女性助祭」の可能性ついて、研究・検討する委員会を設置しました。
── 神父と牧師……。日ごろなじみがないとあまり意識せず、混同しがちですし、神父と牧師の違いは一度覚えてもすぐに忘れがちですが、「プロテスタントは牧師」を、「プロボクサー」(プロ ⇒ プロテスタント、ボクサー ⇒ 牧師)という覚え方もあるようですよ。これなら覚えやすいですね。