11月17日は将棋の日。相手の駒も使える「持ち駒」は日本独特のルール?
11月17日は「将棋の日」。歴史から日本独自のルールまで、将棋のあれこれをご紹介
そんな11月ですが、17日は「将棋の日」というのをご存じですか? 今年の前半、将棋の世界では、藤井聡太四段がデビュー以来29連勝という記録を打ち立て、大きな話題となりました。藤井四段の活躍で、将棋に興味を持った方も多かったのではないでしょうか。今回は、今年一年の振り返りの意味も込めて、“将棋のいろいろ”についてご紹介します。
【将棋の由来】戦争好きの王様のために作られたゲームが将棋のはじまり
チェスも将棋もルーツは同じ?
将棋の由来については諸説ありますが、とりわけ有名なものでは、古代インド発祥のチャトランガがはじまりという説です。それは、戦争が好きな王様に、ある村の長老が「戦争に似せたゲームを作ったらどうか?」と提案して生まれたというものです。当時の軍隊の編成を参考に、駒の種類や並べ方などが作られたといわれています。
こうして生まれたボードゲームはその後、世界中に広がり、国ごとに駒の形やルールが変化しました。チェスもその一つです。また中国のシャンチー、朝鮮半島のチャンギ、モンゴルのシャタル、タイのマークルックなど、チャトランガから派生して、アジアだけでもさまざまなゲームが生まれました。
このように世界中に広がった理由については、インドの王様が金、銀、財宝で作られたチャトランガを贈りものとしたため、将棋が世界に広がったから……といわれています。
【将棋はいつ日本に伝わった?】平安時代にはすでに将棋があった!?
平安時代以降、さまざまな種類の将棋が生まれた
日本に将棋が伝わってきた時期は、実ははっきりとはわかっていません。ただ、平安時代にはすでに将棋があったという記録が残っています。
平安将棋は、駒の種類や動きは現在の将棋とほぼ同じですが、飛車と角行がありませんでした。また、持ち駒(相手から取った駒)を自分の駒としては使えませんでした。
次に登場したのが、平安大将棋。これは縦横13マスの将棋盤で行うもので、マスが増えた分、駒の種類も増えました。中には金将、銀将以外に銅将、鉄将もあったそう。このほか、天竺大将棋、大大将棋、摩訶大大将棋、泰将棋、大局将棋など、将棋はさらに大きくなり、駒の数も増えたり、ルールも変化していきました。こうなると駒の動きを覚えるだけでも大変ですし、そもそも駒を並べるのにも時間がかかります。よほど余裕のある人でなければ将棋はできなかったことになります。
【日本将棋の特長】「持ち駒」……そのルールは日本独特?
日本独特の「持ち駒」ルール
さて、このように盤そのものを大きくしたり、駒の数を増やすなどして発展してきた将棋ですが、日本独特ともいえる画期的なルールがあります。それが、持ち駒を使えるということです。
このルールは、16世紀ころから生まれたといわれています。一方で、平安時代からこうしたルールはあったという説もあれば、16世紀ころという説、また江戸時代という説もあります。
チェスや象棋などは、駒に書いてある文字や色が相手方と違います。しかし、日本の将棋は自分の駒と相手の駒と、文字も色も同じ。だからこそ生まれたルールかもしれませんね。
【将棋の謎】「王将」と「玉将」どっちが先?
玉から点を取って「王将」に
ところで、将棋の駒はいずれも相手方と同じですが、ひとつだけ例外があります。それが「玉将」と「王将」です。もともとは「玉将」だったものから、点を取って「王将」が生まれたといわれています。
こちらもさまざまな説がありますが、一説には豊臣秀吉が「王将」を作ったといいます。さらにこの時、「王」はひとつといったため、片方は「玉将」のまま、片方だけ「王将」となったという説です。
2017年に大きな話題を提供した将棋。明日11月17日は「将棋の日」です
11月17日は江戸時代、将軍の前で将棋を指すだった
また、将軍の目の前で将棋を指す「御城将棋」も行われるようになりました。毎年、この「御城将棋」が行われていた日にちなんで、1975年、11月17日は「将棋の日」に制定されました。
世界の将棋をみると、持ち駒が使えるというのは日本の将棋の独特のルール。相手方の駒であっても自軍の駒として使用する。ある意味おおらかな国民性があらわれているのかもしれません。
── 棋界(きかい)で活躍する若き棋士、天才と称されるベテラン棋士がメディアに多く登場した2017年。
名人とAIの闘いも話題となりましたが、様々な選択肢の中から常に最善と思われるものを選択する思考の繰り返しによって、思考力、論理力、集中力、根気が強まるといわれている将棋。そのため3〜5歳のころから将棋に慣れ親しめる環境作りに励む親御さんも今年はグンと増えたよう。もちろん大人も、2018年に新しく将棋をはじめてみるのもアタマのトレーニングによいかもしれませんね。