秋深まる時期のお祭り『酉の市』は新年への準備の事始め!福を招いて楽しく過ごそう

行われる場所だけではなく、その由来やトリビア、楽しみ方などもご紹介します。
晩秋のお祭りでもある酉の市にぜひ足を運んでみてください。
そもそも酉の市って何?
・酉の市の始まりは?
江戸時代から続くといわれる酉の市。その始まりは仏教と神道では異なっています。一つには、現在の東京都足立区にある大鷲神社とされています。近隣では養鶏や農耕が盛んで、農民が秋の収穫を祝って鶏を奉納したことに始まるとされ、集まった鶏は奉納後に浅草浅草寺の境内で放っていたそうです。また仏教(浅草酉の寺・長國寺)の解説では、鷲妙見大菩薩の開帳日に立った市を酉の市の起源とするとされています。
・なぜ鷲?
浅草の大鷲神社社伝によると、天照大御神(アマテラスオオミカミ)が天之岩戸に隠れてしまい、天宇受売命(アメノウズメ、アマノウズメ)が岩戸の前で舞を踊って天之岩戸を開いた時に、弦(ゲン)という楽器を司った神様の、その弦の先に鷲がとまりました。神様達は世を明るくすることを現した鳥だと喜び、これ以後、この神様は鷲の一字を入れて鷲大明神、天日鷲命(アメノヒワシノミコト)と称される様になりました。天日鷲命は開運、殖産、商賣繁昌にご利益の高い神様として祀られているそうです。また日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が鷲神社に戦勝のお礼参りをしたのが11月の酉の日。その時に社前の松に武具の熊手を立て掛けたことから、大酉祭を行い、熊手を縁起物とするとしているそうです。
・三の酉のある年は火事が多い?
宵に鳴かぬ鶏が鳴くと火事が出る、という俗信から来ているそうです。三の酉の頃には寒さも増してきて火を扱うことが増えることから、火に対する戒めとして言われているようです。今年は三の酉までありますから、火の元は充分お気をつけくださいね。
酉の市を楽しもう!

『神楽(カグラ)』
祭場に神様を呼び、音楽や歌舞を奉納する神事芸能の一つです。邪気を払い、福運を貰って新しい年を迎えられるように、と祈りを込められた舞いが披露されます。

郷土の和菓子でもある、切り山椒
頭の芋は頭(カシラ)になって出世する、芋は子芋を数多く付ける事から子宝に恵まれるとされています。
『黄金餅(コガネモチ)』
お金持ちになれるといわれています。
『切り山椒』本格的な寒さを迎えるこの時期、これを食べれば風邪を引かないといわれています。新年のお菓子とされていて紅白のものが多く、和菓子では極上品で求肥菓子の部類に入ります。東京・浅草の梅林堂では、酉の市にだけ切り山椒を売り出したりもします。

鷲が獲物をわしづかみすることになぞらえ、福や徳を「掃きこむ、かきこむ」との意味が込められています。露店では『縁起熊手』、寺社では『熊手守り』が売られます。元々は鷲神社周辺の農民のために縁日の境内で熊手や鍬などの農具を販売していたのが、次第におかめなどの縁起物がオマケとして農具につけられるようになり、それが今日の装飾熊手の由来になっているとも言われています。また、熊手商と買った=勝った、まけた=負けた、と気っ風の良いやり取りを楽しんで買うものとされ、商談が成立すると威勢よく手締めが打たれるので、そこかしこから聞かれる音も酉の市の醍醐味の一つです。
どこの酉の市へ行ってみる?



東京都…足立区・大鷲神社(発祥の地、と言われる一つ)
愛知県…名古屋市中村区・素盞男神社 、愛知県名古屋市中区・長福寺
静岡県…浜松市中区・大安寺
大阪府…堺市西区・大鳥大社 (大鳥信仰の総本社)
他にも各地で酉の市が立ちます。お近くの大鳥神社などでも開催されているかもしれません。確認してみてくださいね。
新年を迎える準備、最初の行事の『酉の市』
人並に押されてくるや酉の市 高浜虚子
雑閙や熊手押あふ酉の市 正岡子規
年の瀬へ向けての最初のイベントである酉の市の、活気やワクワク感は文学の中でも題材になるほど。師走に入って何かと忙しくなってしまう前のこの時期に、福を招いて新年を迎える準備を楽しく始めてみるのはいかがですか?